[読みトキ・参議院選挙編]「良識の府」ってどういう意味? ニュースQ&A

 参院選が公示されました。新潟県内の選挙区は、改選によって争う議席は1。衆議院とは選挙の仕組みが違います。今回の「ニュース読みトキ!」では、「参議院」について考えます。参議院は「良識の府」と呼ばれる一方、「衆議院のカーボンコピー」と揶揄(やゆ)されることもあります。参議院の役割を読みトキます。

Q 「良識の府」ってどういうこと?

A 任期が4年で、いつ解散があるか分からない衆院議員と違って、参院議員は6年間の任期が保証されています。だから、より長期的な視野で物事を考えられる議院として期待されています。

Q 参院議員は衆院議員よりいいね。

A とはいえ、憲法は「衆議院の優越」を認めています。衆院は解散があり任期も短いから、より国民の意思を反映しやすい議院だと考え強い権限を与えています。内閣不信任を決議できるのは衆院だけです。参院は問責決議をできますが、法的な拘束力はありません。

 予算を先に審議するのも衆院です。総理大臣の指名も予算の議決、条約の承認も衆院の判断が優先されます。また、憲法は参院議員が総理大臣になることを認めていますが、過去になった人はいません。

Q 参院は必要ないような気がしてきた…。

A 違います。確かに衆院と同じような審議を繰り返して、「カーボンコピー」と参院不要論もあります。ですが、参院の独自性も期待されています。例えば近年は、決算の審議や行政の監視に力を入れてきました。

 今、国の借金は1千兆円超と膨大です。少子化と高齢化に歯止めがかからず、年金や医療など社会保障の先行きも心配されています。「良識の府」として、党利党略を超える知恵を参院に期待したいですね。

© 株式会社新潟日報社