トイレで愛川町の方言知って ペーパーに印刷し、学校へ配布

地元の方言を印刷したトイレットペーパーを持つ愛甲商工会青年部の馬場将和部長(右)と宮川博章事業委員長=同商工会

 「えらくごっちょしてるじゃんかよぉ」(とても苦労しているね)、「やくばのとばっくちででっくぁした」(役場の出入り口で偶然会った)-。こんな愛川町の「方言」を印刷したトイレットペーパーを、愛甲商工会青年部(馬場将和部長)が作製し、町内の6小学校と3中学校に192個ずつ配布している。「方言を知ってもっと地元を知ってもらいたい」と願いを込めている。

 トイレットペーパーには青年部のマスコットキャラクターが「トイレで愛甲郡の方言を勉強しよう」と呼びかける絵と、方言のフレーズを7種印刷した。

 例えば「あのわけぇしふんだらだぁにしてけぇりやがった!」という方言には「わけぇし=若者」「ふんだらだぁ=めちゃくちゃ」「けぇる=帰る」と一語一語の意味を記し、最後に「あの若者めちゃくちゃにして帰ったな」と「翻訳文」を載せている。

 同青年部ではこれまでも方言を印刷した手拭いやタオルを作製して行事などの際に配布しており、トイレットペーパーは第3弾。「トイレで必ず使うので、何度も見てもらえるだろう」と思い付いたという。これまでは単語を紹介してきたが、今回は文章にした。

 とはいえ、「われわれ若い世代では、あまり使わなくなっている。年配の人から聞いても意味が分からない言葉も多い」と馬場部長(40)や宮川博章事業委員長(36)は打ち明ける。幸い、馬場部長が働くグループホームを利用するお年寄りから、たくさんの方言を教えてもらえたのが大きな力になった。

 町立中津第二小(同町春日台)には、馬場部長らが寄贈に訪れた。児童に「この方言知ってる?」と尋ねると「全然知らない」と率直な声が返ってきた。

 「愛川町の子どもたちは成長すると町外に出て行く人が多い。地元の方言を知って、もっと愛川を好きになってもらいたい」と馬場部長は願っている。

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