参院選有権者アンケート 投票行く「権利であり義務」 行かない人は不信根強く ネット投票望む声も

ラインのアンケートは無作為抽出で民意を反映する世論調査と異なり、多様な意見を紹介するのが目的です

 長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」は第26回参院選(7月10日投開票)について、「投票に行く理由、行かない理由」を尋ねる有権者アンケートをLINE(ライン)で実施。大半は「行く・既に行った」と答え、「権利であり義務」などと有権者の責任を強調した。「行かない・行きたくない」とした人は「誰が(議員を)やっても同じ」と多くが政治不信を吐露。ただ、ほかにもさまざまな理由が上がり、ネット投票導入を望む声もあった。
 アンケートは6月29、30の両日実施。投票に行くか行かないかを選択式で、その理由を記述式で質問。491人が回答した。選択式の回答の内訳は▽「行く・既に行った」438人(89.2%)▽「行かない・行きたくない」27人(5.5%)▽「決めていない・どちらでもない」26人(5.3%)―だった。
 「行く―」とした人は、大方が民主政治の根幹である投票の重要性を理解。長崎選挙区(改選数1)は今回、候補者6人のうち女性が過去最多の4人に上ることから「知らんぷりはできない」と考えた女性も。「もうすぐ選挙権を持つ子どもに、選挙は必ず行くものだと知ってもらうため」という母親や、「せっかく18歳から投票できるのなら自分の意見を持ちたい」という10代の声が印象的。
 半面「行くが、支持する政党もなく候補者のアピールも響かない」といった覚めた見方も目立った。「不平不満を言うだけで投票に行かないのは無責任」といった趣旨の記述が数多く、政治の現状に対する不満の大きさをうかがわせた。
 「行かない―」「決めていない―」とした人の場合も、こうした政治への不満が、投票自体に対する諦めや無力感につながっているケースが典型的。「投票しても勝つのは自民党だろう」「(投票結果は)全然地域に反映されない」といった声に加え「政治家の劣化ぶり」を嘆く人も。
 今回は猛暑下の選挙となっており、「病気で投票所まで行けない」「暑い中行く気がしない」といった高齢者の意見は重く受け止められるべきだ。ネット投票に期待する声は年代を問わずあり、「行く―」とした人の中にも散見された。「選挙人名簿の登録が前住所にある」とした女性は、引っ越しから3カ月未満での公示の場合、住所地に投票用紙を申請して不在者投票しなければならない手続きの面倒さを指摘した。
 「私の生活が良くなるか? 良い方向になると分かれば(投票しない)考えも変わるが、今はただ生活が苦しい」と訴えた40代女性は、母子家庭だという。こうした人が投票に行きたくなるような政治の実現が、心から待たれる。


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