(この記事はある女性の妊活体験談です) 私は不妊治療を進めていく中で、実は、たくさんの人と距離を置いてしまいました。 妊娠のタイミングは人それぞれ。 頭で分かっていても、不妊治療をしている時に誰かの妊娠・出産報告を聞くと、やはり少しショック を感じてしまうものでした。 そして、とてもおめでたいことなのに心の底から祝福の言葉を発する強さを持てない自分に自己嫌悪 …。その繰り返しでした。 今回は不妊治療中に変わってしまった人間関係とそこから学び得た大切なことをお話していきます。※本記事は、個人の感想に基づいたものです
自分は別世界にいる気持ちになった
まだ妊活を始めたばかりのころは、自分もすぐに授かれるものだと思っていたので、妊娠中や育児中の 友達と何の迷いもなく連絡を取り合って遊んでいました。それが、治療が進むにつれてどんどん苦しくなっていきました。
私が妊活を始めた当初は、”不妊治療”というイメージを世間から持たれる年齢ではありませんでした。そして、自分より先に妊娠した友達に、不妊治療をしている子が1人もいなかったのです。 だから、私も皆と同じ立場になれると信じていました。
人工授精へのステップアップ
タイミング法を数か月続けても結果が出ず、いよいよクリニックの先生に人工授精へのステップアップを勧められました。
その時、私の中でどこか周りの友達に取り残されたような、もう同じ場所で同じ温度で関わりあえないような、そんな気持ちが芽生えてしまったのです。
黒い感情でいっぱいに
不妊治療のつらさが分からない相手にとっては、とても難しい理解を押し付けられていると思われても仕方ありません。
私自身も、もし何の苦労もなく妊娠することができていたら”不妊治療”なんてひとごとで、経験している人の気持ちがこれっぽっちも分からなかったかもしれません。
私の心は分かってほしいと思っていた友達にうまく伝わらないことでどんどんすさんでいってしまいました。
友達が悪いわけでは決してありません。ただ、”不妊治療”という今の自分が1番大きく抱えている悩み、つらさ、苦しみを共感できる同じ場所にいる人か、そうでないかの違いが、あまりにも大きすぎました。
消すことができない黒い感情
どうしてあの子は子どもが欲しかったわけじゃないのに、いとも簡単に自然妊娠できるの?
どうして同じ年齢なのに、私は妊娠できないの?
私の方が先に結婚したのに。 私の方が子どもが欲しいとずっとずっと思っているのに。
私の方が…私の方が…そんな風に思って嘆いてしまう黒い自分が、どんどん自分自身を苦しめていきました。
先生に人工授精を勧められたショックと、この若さで「そうまでしないと妊娠できない」という事実を受け止めることがすぐにできませんでした。
私の中で、人工授精にはタイミング法よりもはるかに「不妊治療」という強いイメージがあったため、きっと治療のステップアップをすることが怖かったのだと思います。
もともと知らなかった世界でしたが、当事者になってみると気づくことがあると感じたできごとでした。