侮辱罪法定刑引き上げ施行、政治家への批判は

 刑法等の一部を改正し「侮辱罪」の法定刑の引上げが7日、施行された。「公然と人を侮辱した者は1年以下の懲役もしくは禁錮、もしくは30万円以下の罰金、または拘留、もしくは科料」になる。公訴時効も1年から3年に引き上げられた。これは「名誉棄損罪に準じた措置」になっている。

 侮辱罪の処罰犯意について、法務省は「侮辱罪が成立する範囲はこれまでと全く変わりない」としている。「今回の引き上げで、これまで侮辱罪で処罰できなかった行為が、処罰できるようになるというようなことはない」と説明している。

 また、政治家を公然と批判した場合、処罰の対象になる可能性はあるのか、では「侮辱罪の要件に当たったとしても、公正な論評といった正当な表現行為については刑法35条の正当行為として処罰されない。このことは今回の改正後も変わりません」と説明している。

 古川禎久法務大臣は「侮辱罪の法定刑引上げは、公然と人を侮辱する侮辱罪について、厳正に対処すべき犯罪という法的評価を示し、抑止するとともに、悪質な侮辱行為に対する厳正な対処を可能とするもの」と説明。

 古川大臣は「改正法の適正な運用により、時に人を死に追いやることさえある悪質な侮辱行為の根絶を図っていくことが重要と考えている。法定刑の引上げは、もとより表現の自由を不当に制約するものではない」と強調。

 そのうえで「表現の自由への影響を懸念する声があったことを踏まえ、法定刑引上げの趣旨や内容を広く国民に正確に理解いただけるよう、当省ホームページに『Q&A』を掲載した。また全国の検察庁に対し、改正の趣旨や内容等を踏まえた適切な運用を求める通達を発出した」としている。(編集担当:森高龍二)

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