「7月下旬に都内の新規感染者約1.4万人に」AIが予測

 新型コロナウイルスの今後の感染状況について、名古屋工業大学のグループがAI(人工知能)を活用して予測した結果を公表した。それによれば、東京都内の1日の新規感染者数は今月下旬に約1万4000人にまで増加するという。

「BA.5」の感染力が従来株の1.2倍と仮定した場合

内閣府「COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト」掲載の資料より

 予測結果を公表したのは、名古屋工業大学の平田晃正教授らの研究グループ。内閣官房の「COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト」の一環で、過去の感染者数の推移、ワクチンの予防効果、Twitterで人の集まりを想起させる「飲み会」などのワードが含まれるツィートのデータなどをもとに解析を行い、今後の東京都内の感染拡大の動向を予測したもの。

 公表された予測では、置き換わりが進んでいるとされているオミクロン株のさらなる変異株「BA.5」の感染力について、従来株の1.1倍、1.2倍だと想定、それぞれの推移を提示している。感染力1.2倍と想定した場合、東京都内の感染者数はお盆明けの8月20日付近がピークとなり、1日約1万4000人に達する。またその後もピークアウトの曲線は緩やかで、9月下旬になっても1万2000人程度で下げ止まるという。また重症化率を従来株と同程度とした場合、この感染数の推移では1日当たりの死者数は最大で20人になると予測している。高齢者への4回目のワクチン接種が進まなかった場合は、最大25人となる可能性も示した。

 今回の予測では、感染拡大が報じられた後の「行動変容」、具体的には感染を避けようと人々が自ら集まりを避け人流が減った場合や、まん延防止等重点措置などで行動制限が行われた場合などのシミュレーションも行っているが、この場合でも、ピークは1日1万人弱から7000人前後となりそれほど効果が見込めないことが示唆されている。報告書は内閣官房の特設ページで閲覧可能だ。

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