12日、市川 対 習志野の試合でZOZOマリンスタジアムに響き渡ったのは、全国的にも有名なあの「美爆音」。
2022年の夏大会は、3年ぶりにブラスバンドを入れた応援が解禁。コロナ禍のため、吹奏楽部の演奏は最大50人までという制限があるものの、習志野高校吹奏楽部は暑さに負けず、力強い演奏を披露しました。
チバテレ+プラス編集部が球場で出会った、部長の七海歩夢さん。
“野球の応援をしたくて”吹奏楽部に入部したといいます。
「元々野球をやっていて、プレイヤーの気持ちも少なからずわかる。野球が好きで、応援したいなという気持ちがあったので入部を決めました」
七海部長は、小学生時代は野球と吹奏楽部を両立し、中学生時代に吹奏楽部を選択。
現在は大型金管楽器のチューバを担当しています。
野球の応援をやりたくて吹奏楽部に入部した人は他にもたくさんいると言いますが…、彼ら3年生にとって今回の大会は最初で最後の夏であり、念願の“夢の舞台”。
「この2年間、1回も野球応援が出来ていないので、本当にようやく…という感じです。3年生で初めての経験。野球部の関係者、選手など色々な人が待ちわびていたことだと思うので、この形で応援が出来て本当によかったです。周りの支えがあるおかげだと改めて感じています」
■ 50人編成の“美爆音”
吹奏楽部の応援は「最大で50人まで」という決まりがある今大会。
習志野高校吹奏楽部の部員は全員で186人のため、全員での演奏は出来ないが、12日は約180人の部員が試合の間に入れ替わり、交代交代で演奏を披露。
楽器を演奏しない間は、手拍子で試合の応援を行いました。
「50人の制限の中でやるしかないので、全員に経験してもらいたい、全員の想いを届けたいという気持ちがあり、交代しながら演奏することを決めました」
球場では、『レッツゴーならしの』『カラット』などお馴染みの曲が揃う中、12日新曲、TMレボリューションの『WHITE BREATH』を初披露。この応援にかけてきた気合も十分伝わります。
「直接応援できているので楽しいです!習志野高校の関係者だけでなく、純粋に習志野高校を応援しに来てくれている人もたくさんいるので、その分気持ちもあがって熱量があがっています」
「ただ、200人分の音を50人で出さなければならない。音などを含めて、これまで届けてきた美爆音に戻すために、しっかりとブラッシュアップしていきたいです」
吹奏楽部の海老沢博 顧問は、七海部長について「日々頼もしくなっています。頼れる存在になった。他の人たちの助けもありますが、七海を中心にチームワークが発揮されていると思います」と話しています。
2012年から顧問を務め、甲子園の経験もある海老沢顧問は、甲子園は千葉県大会とはまた違った雰囲気を感じるとして、今後の活躍にも期待を寄せています。
「応援の曲はこれまでも演奏会でやってきましたが、自分の学校に向けてスタンドから応援するのは“全学年初めて”です。まずは、千葉県大会で一歩ずつ勝ち上がるバックアップをして、さらに甲子園にも行くことができたら彼らにとっても良い経験になると思います」
■“我が子”を見守る両親の姿
吹奏楽部が奏でる音にのせて手拍子などをしながら、スタンドで観戦していた、七海部長の両親にも話を聞いた。
父親はー
「ようやくこの日を迎えられた。少年野球をやっていたので、こうして違う形で“野球”に携われるのは嬉しいです。3年間の集大成なので、こうして実現できてよかったです」
「本人が1番やりたいと思ったこと(吹奏楽で野球の応援)がやれて良かったなと思います。本人はずっとスタンドで応援したかったと思いますし、これからも選手たちの後押しを出来る、甲子園までいける応援を続けてほしいなと思います」
母親はー(写真真ん中)
「鳥肌が立つほど嬉しいです。息子は毎日帰りが遅いですが、“こんなに練習しているんだな”と演奏を聞いて頑張っていることを実感しますね」
「本当に待ちに待った日ですが、こんなに習志野のユニフォームを着ている人、習志野の応援している人がいるのをみると責任重大だなぁと…皆さんの期待を裏切ることのないよう応援頑張ってほしいです。勝ち続けて、何度も演奏できるといいな」
ちなみに…七海部長は“この日のために散髪した”んだとか。
「普段は床屋さんが空いている時間に帰って来られないのでテスト休み中に行っていました。いつも帰って来てからすぐに寝てしまうので、とにかく私は息子を支えるのみです!」
また、スタンドには七海部長の中学校2・3年生の時の担任の先生の姿もありました。教え子の応援に駆け付けたといいます。
中学2~3年時の担任の先生
「野球の応援、吹奏楽をやりたくて覚悟を待って入ったので、やっぱり違いますよね。立派になったなと思います。元々おとなしい口数の少ない子でしたが、部長になった姿を見ると大人になった。選択肢がたくさんある中で、よく習志野を選んだなと思いました」
こう話す先生に対し、七海部長の母親は「先生のおかげです!」と笑顔で話しました。
気になる試合は…
習志野が4回に2点を先制したものの、8回に市川に2点を返されて同点に。
熱戦が続く中、8回裏、「美爆音」に後押しされて1点を勝ち越し、3-2で初戦を突破しました。
今後も「美爆音」を力に、習志野高校は甲子園を目指す。