激戦の果てに 参院選新潟選挙区回顧〈下〉 「異例の選挙」に決着 総括

 時の政権に対する「中間テスト」とも呼ばれる参院選が幕を閉じた。新潟選挙区(改選数1)では、届け出順に政治団体「参政党」新人の遠藤弘樹氏(42)、NHK党新人の越智寛之氏(48)、立憲民主党現職の森裕子氏(66)、自民党新人の小林一大氏(49)の4人が立候補し、小林氏が初当選した。
 小林氏と森氏の与野党対決には特に関心が寄せられ、事実上の一騎打ちとみられていた2氏の激戦は,日を追うごとに白熱。原油高・物価高騰への対応などをめぐり、県内各地で舌戦を繰り広げた。
 同選挙区では過去2回とも野党候補が勝利しているため、与党にとって「議席奪還」は至上命題。自民党本部からは大物閣僚が続々と新潟入りし、小林氏の〝上越第一声〟では安倍晋三元首相が応援弁士を務めた。
 選挙戦最終日には岸田文雄首相が期間中2度目の新潟入り、同市内で応援演説を実施。安倍元首相が凶弾に倒れた翌日だったこともあり、注目された。現職首相自らの来援はインパクトが強く、森氏陣営は敗戦の弁で「森さんが何度も言うように、壮絶な権力との戦いだった」(菊田真紀子選対本部長)などと振り返った。
 安倍元首相が遊説中に銃で撃たれ、命を落とすという痛ましい事件とともに記憶されるであろう今回の選挙。議席を奪還した与党、さらなる野党共闘を模索する立憲民主党などはもとより、比例代表で各1議席を獲得したNHK党と参政党の今後が注目される。

小林氏の〝上越第一声〟で応援弁士を務めた安倍元首相。この2週間後、遊説先の奈良県内で凶弾に倒れ、日本列島に激震が走った(6月23日、上越市の上越文化会館脇の広場)

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