復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月21日「沖電、16-17%の値上げ」―琉球新報アーカイブから―

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 
 日本「復帰」直後の1972年7月21日の琉球新報1面トップは、「日中国交正常化、政治折衝の窓口開く/本交渉開始早まる/機が熟せば今秋訪中」との見出しで、田中政権最大の懸案のひとつ、日中国交正常化に向けた具体的な道筋が見えてきたことを伝えている。関連で「中国側、積極姿勢示す」や「政府考慮/田中・孫会談も」と中国側の反応や、具体的な首相訪中の内容も相次いで報じている。
 沖縄県内情勢では「16-17%の値上げ/沖縄電力/電力卸し料金改定申請」との見出しで、沖縄電力が電力卸し価格と一部小売り価格を改定することを通産相に申請したことを伝えている。記事では「この改定によると軍需用の30-40%の値上がりをはじめ総体提起に16-17%の値上がりになるが料金体系の一本化により直接供給(小売り)している離島では下がる結果となる」と紹介。その原因として沖電の宮城信勇取締役が会見で語ったこととして「諸資材の価格や賃金が実質360円で読み替えられたため、収支は均衡が保てなくなった」と、ドル―円換算レートの問題が響いていることを伝えている。
 復帰に伴い沖縄の人民党の動向が注目される中で「人民党、〝社会主義〟へ転換/新路線を打ち出す」との見出しで創立25周年式典での方針発表の記事を掲載している。瀬長亀次郎委員長が講演の中で「人民党はこれまでより進んだ段階、科学的社会主義の党へ発展する」と新方針を明らかにしたという。
 このほか、政府が沖縄国際海洋博覧会開催にあわせて「道路、空港などを整備/閣僚協幹事会/海洋博対策決まる」との方針を紹介する記事や、「米軍、最大級の北爆」とベトナム戦争で依然として米軍が爆撃を続けている様子を掲載している。
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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。  

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