チェルノービリ放射線レベルIAEA推定の3倍

 国際環境NGOグリーンピース・ドイツは現地時間の20日、キーウで記者会見し、ロシアにより軍事作戦が行われたチェルノービリ=チェルノブイリ=原発立入禁止区域(原発から30キロ圏内)での核廃棄物放射線レベル調査を実施した結果を示し「そのレベルは国際原子力機関(IAEA)が推定する放射線レベルの少なくとも3倍に上った」と発表した。

 グリーンピース・ドイツは「IAEAは4月に放射線レベルは『正常』で環境や公共の安全の大きな問題ではないと非常に限定的なデータを提供していた」と問題を提起した。

 そして「IAEAがロシアの国営原子力企業ROSATOMとの関係によって、ウクライナの原子力の安全性に関する役割を十分に果たしていないことを懸念している」と表明した。

 グリーンピースによると「調査チームがStantzaya Yanov付近のロシア軍キャンプ跡で、地上10センチの高さで0.18μSv/h(マイクロシーベルト/時)から最大2.5μSv/hまでの線量率を測定した。最高値はIAEA試算の3倍以上だった。ロシア軍の道路封鎖地点から1.5キロの距離にある『赤い森』に隣接する交差点では、線量率が7.7μSv/hと、IAEAの測定値を大きく上回った」と発表した。

 グリーンピース放射線防護スペシャリストのヤン・ヴァンダ・プッタ氏は「我々は放棄された塹壕の内部で低レベルの核廃棄物と認められるレベルのガンマ線を測定した。ロシア軍が高放射能環境で活動していたことは明らかですが、IAEAはそう伝えてはいません。IAEAは何らかの理由で十分な調査努力をしないと判断したとしか思えません。IAEAが世界に信じさせようとしているにもかかわらず、チョルノービリ原発の立入禁止区域内の放射線レベルが正常でないことは我々の調査から明らかになった」と強い懸念を示した。(編集担当:森高龍二)

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