【石川】高校野球 日本航空石川/北陸の大型スラッガー・内藤鵬

 高校野球の第104回全国選手権石川大会。23日には準決勝が行われる。
 春の県大会、そして北信越大会を制した日本航空石川は小松大谷と対戦する。投打にハイレベルな日本航空石川で注目を集めているのが大型スラッガー・内藤鵬だ。長打力に磨きがかかった内藤から目が離せない。

北陸の大型長距離砲は練習の虫。腹をくくって怪物に覚醒だ!

内藤鵬(日本航空石川)
ないとう・ほう/3年/180cm、100kg/右投右打

 バッティング練習が続くグラウンドのライトフェンスの向こうを、羽田空港に向かうジェット旅客機が、轟音もろとも離陸していく。
 学校があるのが、のと里山空港のほんとの隣り。奥能登・輪島市郊外の高台にあるグラウンドのちょっと向こうが、もう滑走路だ。
 全国有数の右の長距離砲・内藤鵬の打球が、たて続けにレフト96mのフェンスを越えて、その先のブルペンの屋根にガシャンと大きな音をたてても、もう誰も驚かない。

 あれがウチの日常ですから……チームメイトの笑顔も誇らしげに見える。
 1年夏からクリーンアップに抜擢され、現在、高校通算53弾。
「長打力だけじゃない。ミート力にも自信あります。打率も高いホームランバッターになりたいんで。練習試合含めても5割は超えていると思います」
 以前はイマイチ自信の持てなかった守備ワークにも、手ごたえを感じられるようになってきたという。
「中村(隆)監督が朝練で毎日ノックを打ってくれて、不安だった送球も、監督にスナップスローを教わって、ぐっと安定してきました」
 185cm、100kgをちょっと超えてしまった巨体なのに、ショートに入った守備練習もあざやかにこなす。
「とにかく努力できる子です。あれだけの能力がありながら、テングになるとか、あぐらをかくとか、一切ない」
 なにより野球が好きな野球小僧です……と中村監督も太鼓判だ。
「中学までは土日だけのクラブチームだったんで、高校で毎日練習できるのが、嬉しくてしょうがなかったんです。室内もあるし、ボールもたくさんあるし。オフの日も、結局、自主練の量はいつもと変わらなくて」
 にごりのないスッキリした表情に、大物感が漂う。
「正直、休みたいと思う時もありますが、休んで感覚がズレるのが怖い。それに<夢>もありますから。やりたくてやってる野球なんですから」

 腹をくくったひと言が潔く、こういう球児が本物の「怪物」になっていくんだ。

内藤鵬(日本航空石川)

© 株式会社ミライカナイ