【滋賀】高校野球 近江/プロ大注目の絶対的エース・山田陽翔(前編)

 高校野球の第104回全国選手権滋賀大会。25日に準々決勝4試合が行われる。

 センバツでは代替出場ながらも準優勝を果たした近江。このチームの絶対的エース・山田陽翔の魅力に迫る。(全2回の前編)

魂という言葉が一番似合う子

山田陽翔(近江)
やまだ・はると/3年/投手/175㎝、78㎏/右投右打

 マウンドに上がれば、最速149㌔のストレートとキレ味抜群の変化球を見事に投げ分け、バットを握れば、豪快な打撃を見せる。一選手としても魅力的な逸材だが、それ以上に人々を惹きつけるのが圧倒的なスター性だ。

 振り返ってみれば、デビュー戦から圧巻だった。コロナ禍で夏の甲子園が中止となり、独自大会が開かれた一昨年の夏。初戦の光泉カトリック戦で0対0の7回表に足が攣ったエースの代わりに緊急登板して三者凡退に打ち取ると、その裏に自らの適時二塁打で先制点をもたらす。その1点を山田が最後まで守り抜き、1対0で近江が勝利。出来すぎにもほどがある鮮烈デビューに「これからとんでもない選手になっていくかもしれない」と思わされた。

 多賀章仁監督は「魂という言葉が一番似合う子」と山田のことを評する。県外の強豪校からも誘いがあった中で「地元の高校で日本一になりたい」と近江を選んだ。練習に取り組む姿勢や相手に立ち向かっていく闘争心は誰もが一目置いている。だが、チームを勝たせたいという気持ちが強いが故に自らの体を顧みないこともあった。昨夏は右ヒジの痛みを隠しながら投げ続け、今春のセンバツでは準決勝の浦和学院戦で左足に死球を受けて、足を引きずりながらもマウンドは譲らなかった。将来有望な選手だからこそ、周囲は山田の体を心配する。彼の起用法を巡って様々な議論が巻き起こったが、山田はキッパリとこう答えている。
 「周りの声はあまり気にしていません。僕と監督さんで決めたことなので、それが最善であったのかどうかわからないですけど、決めたことに後悔はないです」

 山田にもドラフト上位指名でプロに行くという明確な目標がある。だが、それ以上に目の前の試合を精一杯戦うというのが彼の流儀なのだ。
(後編はコチラ)

山田陽翔(近江)

© 株式会社ミライカナイ