伊勢原・大山で「夏山開き」 白装束のお花講メンバー登拝 「緊張して眠れず」

石段を上るお花講のメンバーら=伊勢原市大山

 伊勢原市の大山で27日、恒例行事の「夏山開き」が行われ、登山口となる登拝門が開かれた。

 今では年間を通して多くの登山者が足を運ぶ大山だが、かつては夏山期間(7月27日~8月17日)以外は門が閉じられ、山頂への登拝が禁止されていた。

 市によると、明治初期の神仏分離や登拝者の増加により規制が緩められ、1965年の国定公園指定をきっかけに全面開放されたが、「夏山開き」は伝統行事として継承されてきた。

 毎年この時期になると、江戸時代から鍵を保管してきた東京・日本橋小伝馬町の「お花講」が門を開きに来訪しており、今年は約15人が参加。大山阿夫利神社下社境内にある登拝門を解錠すると、白装束姿のメンバーらは「さんげ、さんげ、六根清浄」と唱えながら、石段を上っていった。

 初めて参加した小学5年の男子児童(10)は「昨晩から緊張して眠れなかったが、やってみてワクワクした。来年もまたやりたい」と話し、講元の大野泰昭さん(70)は「コロナ禍でも毎年続けられているのは幸せなこと。大山に来た際は山の冷気や樹木の“声”を聞いて気持ちを落ち着かせてもらえたら」と話した。

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