京都・東本願寺再建の材木候補に 相模原で津久井の「林業」近代史伝える企画展 明治期、ケヤキが梁材料として検討

明治時代に旧津久井郡鳥屋村の立ち木について調査した調査表の写し

 相模原市緑区の津久井地域でかつて基幹産業として栄えた「林業」の近代史を紹介する企画展が、同区久保沢の市立公文書館で開かれている。

 明治時代に京都・東本願寺再建ための材木として津久井のケヤキが候補に挙がった意外な過去もあり、同館は「水源地域でもある津久井山林の歴史を学ぶ機会にしてもらえればうれしい」とPRする。

 津久井地域は相模川の水運を生かした流通が発展したため、江戸時代から林業経営が発展。森林造成が進み、県内有数の人工林が形成された。企画展は明治~昭和時代に焦点を当て、林業史を紹介している。

 同地域にある鳥屋山では明治期、ケヤキの伐採が盛んに行われ、東本願寺の再建の際に梁(はり)の材料として検討された。2006年、同寺からの連絡により鳥屋村の山林資料が同寺に多数所蔵されていることが判明。資料の中には、同村が立ち木一本一本を丁寧に調べた調査表や、同寺と旧津久井郡が結んだ「立木売渡証」も含まれていたという。

 残念ながら、京都まで立ち木を運ぶ時間や費用がかさむことから「控え木」にとどまり、実際に採用された形跡はないが、同館は「津久井のケヤキが有益な木材であることが印象付けられた出来事だった」と解説する。

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