「表現の自由」調査 国連担当者が初来日

 「表現の自由」の現状について調査するため国連特別報告者のデービッド・ケイ氏が来日した。12日、調査開始を前に報道陣の取材に応じ「日本のジャーナリストが圧力を受けていると感じている。政府やメディア関係者に話を聞きたい」と語った。表現の自由に関する特別報告者が日本を調査するのは初めて。

 19日まで政府要人やジャーナリストらと面会し、特定秘密保護法の実施状況や国家情報の公開範囲などを調べる。帰国後に報告書にまとめ、問題が確認されれば国連人権理事会が日本政府に改善を促す勧告を出すという。

 ケイ氏は、高市早苗総務相が放送局に電波停止を命じる可能性を言及した問題についても「高市総務相と直接会って質問したい」と面会を求めていることを明らかにした。

 また、規制の法制化が検討されているヘイトスピーチ(憎悪表現)に関しても「(特定の人種や民族への)差別をあおり、排除する表現は許されない」と強調。「在日コリアンの排斥を唱えるヘイトデモもきちんと調査したい」と話した。

 ケイ氏は米カリフォルニア大教授。国際人権法を専門とし、2014年に特別報告者に任命された。国連人権委員会が同年、特定秘密保護法について懸念を表明していたことなどを受け、表現の自由を巡る日本の状況を調査すると表明。昨年12月に訪日予定だったが、日本政府の直前の要請で延期となっていた。

 外務省は、調査を延期した理由について「予算編成などの時期と重なり、受け入れの態勢が取れなかった。今回は関係省庁の局長、審議官らが対応する」とコメントした。◆国連特別報告者 国連総会(193カ国)の下部機関である「国連人権理事会」(47カ国)が特定の国家や特定の人権テーマに関して調査、報告を行う専門家として任命。調査対象国との合意の上で年数カ国を訪問。日本を含む加盟国の人権状況を監視し、改善を促す役割を担っている。任期は最長6年。

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