葉山の被爆女性、核廃絶訴えた大学生と再会 「平和の帯」託し 「受け継がれ心強い」

「Peace」や「和」の文字があしらわれた帯を身につける中村さん(右)と着付けをする福島さん=7月、葉山町

 県原爆被災者の会葉山支部会長で着付け講師の福島富子さん(77)から、平和への思いがこもった帯を託された大学生2人が、再び葉山を訪れた。2人はオーストリアで開かれた核兵器禁止条約の初の締約国会議(6月21~23日)に合わせて渡航し、「和」や「Peace」の文字をあしらった帯を締め、核廃絶を訴えた。福島さんは「帯に込めた反核の思いが若い世代に受け継がれて心強い。着物を貸し出すなど引き続き活動をサポートしていきたい」と、「原爆の記憶」の継承に奮闘する次世代へエールを送った。 

 「私たちは被爆体験の継承という課題も抱えています」─。  

 締約国会議に合わせて開催された「核兵器の非人道性に関する国際会議」の席上、核廃絶を目指す若者団体「ノー・ニュークス・トーキョー」のメンバーで被爆3世としてスピーチした上智大3年の中村涼香さん(22)。7月に帰国し、福島さん宅を再び訪れた。

 中村さんは、母方の祖母が8歳の時に長崎で被爆。2世、3世への影響も解明されていない核兵器の恐ろしさと向き合おうと、高校生の頃から平和大使として活動してきた。

 「初めての国際的な大舞台で、正直何ができるか見えていなかった」と中村さん。渡航は不安だったが、生後7カ月の時に長崎で被爆し、差別から遠ざけるためか親戚に預けられた福島さんの生い立ちや、着物を着て核廃絶の思いを国際社会に訴えてきた活動を知り、「被爆当時の記憶がない中で、核兵器の恐ろしさと向き合い、活動を続けてきた福島さんは私たちのだいぶ先を行く先輩。核兵器使用の恐ろしさを世界に伝えたい」と奮起したという。

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