ホイットニー・ヒューストンの輝かしい記録、今年は「ボディガード」30周年!  8月9日はホイットニー・ヒューストンの誕生日 「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は名曲中の名曲

I Will Always Love You / Whitney Houston

20世紀最大のディーヴァのひとり、ホイットニー・ヒューストン

2022年8月9日、不世出の米女性シンガー、ホイットニー・ヒューストンは生きていれば59歳の誕生日を迎えていた。急逝のニュースが世界を駆け巡った2012年2月、享年48歳… あれから10年の歳月が流れた。

重ね重ね思うのが、その早すぎる死だ。だって48歳だなんて…。まだひと花もふた花も咲かせられる年齢だっただろうし、その準備も漏れ聞こえていた矢先の急逝だっただけに、この音楽界の大きな至宝を失った喪失感はいまだに薄れることはない。間違いなくホイットニー・ヒューストンは、実力と実績を兼ね備えた、20世紀最大のディーヴァ(歌姫)のひとりなのだから。

メジャーデビューした1984年から亡くなる直前まで、およそ30年弱の歌手活動だったホィットニーの人気は常に高かったといえるだろう。2000年代後半以降はヒットチャートから遠ざかっていたという事実は否めないが、デビューからその死の直前まで、ポップミュージックシーンをけん引する存在としての世界的ナンバーワン女性シンガーたる自負みたいなものは自覚していたに違いない。

あえて全盛期というのを指摘するならば、デビューアルバム発売~全米ナンバーワン連発の1985年から、サントラ史上空前の売り上げを記録した『ボディガード』リリースの1992年までの時期となるだろうか。特に彼女の生涯における代表曲となった感のある『ボディガード』からのファーストカット「オルウェイズ・ラブ・ユー(I Will Always Love You)」(1992年)の全世界を巻き込んだメガヒット時は、その人気のピークを迎えていた。今年2022年は『ボディガード』及び「オルウェイズ・ラブ・ユー」発売からちょうど30周年となる。

ホイットニー主演映画「ボディーガード」主題歌にして世界中でメガヒット

「オルウェイズ・ラブ・ユー」のメガヒットぶりは、事実凄まじかったといえるだろう。ブレイクから1991年までのわずか7年間で9曲の全米ナンバーワンを含む15曲以上のメガヒットをハイペースでヒットチャートに送り込み、その人気を盤石にしていたホイットニー。1992年に入っておよそ1年ぶりとなる待望の新曲だったのが「オルウェイズ・ラブ・ユー」だった。

本人主演(ケビン・コスナーと共に)の話題の映画主題歌というのもあり、当然のように世界各国で凄まじいヒットを記録、特に本国アメリカではなんと14週連続1位と、当時の新記録を樹立するほどのまさしく“メガヒット”となっている。(厳密には別れの歌ながら)永遠の愛を誓うような究極のラブソングという内容が、世界の結婚式で歌われるという現象も生み出し、老若男女に認知される、ホイットニーの代表曲どころか1990年代を代表する作品として君臨することになったのだ。

ところで「オルウェイズ・ラブ・ユー」が、実はカバーソングだったのはよく知られた事実かもしれない。米人気女性カントリーシンガー、ドリー・パートンのアルバム『ジョリーン』(1973年)に収録され、1974年にはビルボードのカントリー・チャートで1位となった楽曲。1980年代初頭のカントリーブームを経て、1982年にはドリー本人による再録バージョンが再びカントリー・チャートの1位を獲得、一部カントリーミュージックファンにはよく知られた楽曲だったのかもしれない。

「オルウェイズ・ラブ・ユー」4度にわたってビルボードチャートの上位に

それにしてもこの作品に白羽の矢を立て主題歌に抜擢したホイットニーのスタッフ陣(プロデューサーのデヴィッド・フォスター?)の慧眼は神レベルだったと言わざるを得ない。特筆すべきは結果的にホイットニーの死の直後、本曲が再びビルボード「Hot 100」の3位までエントリーしたこと。ドリー・パートンで2度カントリー・チャートのトップに立ち、ホイットニー・ヒューストンで2度「Hot 100」のトップ3に入る… 40年弱の歳月を要しながらも同じ曲が4度にわたってビルボードチャートの上位を飾った稀有な例を作り出したのだ。

これは例えばリトル・エヴァ(1962年1位)、グランド・ファンク(1974年1位)、カイリー・ミノーグ(1988年3位)で3度にわたって「Hot 100」のトップ3に入った「ザ・ロコ・モーション」(ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作)に匹敵するようなものではないだろうか。

本曲が長い大衆音楽の歴史上において、数少ない “超名曲” の域に達したのは、これはもう間違いない。いまやアメリカ人のほとんどが「オルウェイズ・ラブ・ユー」のオリジナルはホイットニーだと思い込んでいるとのことだが、彼女の早い死がその現象を加速化させたのかもしれない。この現象を見ながら、ホイットニー・ヒューストンは天の上から何を思うのだろうか。

カタリベ: KARL南澤

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