「病病病病病…」コロナ感染で看護師の欠勤急増、シフトは限界に 広島市民病院

コロナ感染による欠勤を示す「病」の文字が並ぶ今月の看護師の勤務表

 「病病病病病…」。広島市民病院(中区)で働く看護師たちの勤務表には今月中旬以降、新型コロナウイルス感染による欠勤を示す「病」の字がずらり並んでいた。「使命感でぎりぎり踏ん張っている」。長谷川聡子看護部長は現場の窮状を訴える。 

 ある病棟では26人中17人が「病」の日も。出勤できる人は夜勤の回数が増え、勤務シフトは限界に近づいている。長谷川部長は「50人以上の看護師が夏休みも取れずにいる」と明かす。

 同病院のコロナ病床は25床。ハイリスクの高齢者たちで埋まっている。防護服を着た医師や看護師以外の立ち入りが制限され、看護師たちが食事の介助やごみ収集、シーツ交換まで担ってきた。病院側はコロナ以外の重症患者も診る拠点病院としての役割を踏まえ、現時点でこれ以上、コロナ病床を増やせないとする。

 ただ、コロナ以外の診療態勢も揺らいでいる。人手不足が響き、一部の手術はやむなく延期。救急車の受け入れも、心筋梗塞や脳出血など一刻を争うケースに絞りつつある。「(災害時に重症度に応じて治療の優先度を決める)トリアージに近い事態が起こっている」。秀道広院長が苦渋の表情で語る。

 症状が安定した患者の転院にも壁が立ちはだかる。「受入すべて×」「コロナ病床作るため受入△」。入退院の調整を担う病院内の医療支援センターのホワイトボードには、転院先の候補となる病院の厳しい現状が赤ペンで記されていた。

 国や広島県は現時点で、社会経済活動の維持を念頭に、行動制限なしに第7波を乗り切る構えだ。秀院長には「非常に切迫した院内と、街の様子のギャップが大きくなっている」と映る。(下高充生)

広島市民病院のコロナ病床で防護服を着て働く看護師

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