温泉への道中、目の前で車が横転「かなりやばい」 車体起こし運転手救助

感謝状を受け取った秦裕之さんと和田健一郎消防長=23日、伊勢原市消防本部

 神奈川県伊勢原市消防本部は、交通事故で横転した軽乗用車から運転手の男性(72)を助け出したとして、同市の会社員秦裕之さん(46)、山梨県在住の小田川和伯さん(49)、湯田健一さん(43)に感謝状を贈った。

 同本部によると、事故が起きたのは7月11日午後9時25分ごろ。秦さんと親戚の小田川さん、知人の湯田さんの3人は車に同乗して秦野市内の温泉施設へ向かっていたところ、伊勢原市串橋付近の国道246号で対向車線をはみ出して走行する軽乗用車を見つけ、「変だな」「おかしいな」と思ったという。

 その後、軽乗用車が赤信号で停止した大型トレーラーの後輪に衝突して跳ね上がり、道路真ん中に横転するのを目撃。3人は「かなりやばい。普通じゃない」と近くのコンビニに車を置き、救出に向かった。

 他に駆け付けた人と協力し、運転席側を下にして横転している車体を起こすと、運転手の男性が右腕から出血していたため、小田川さんがタオルで止血。秦さんと湯田さんは関係各所に連絡を入れるとともに、男性が意識を保っていられるように救急車が到着するまで声をかけ続けたという。

 その後、男性は病院に搬送されて命に別条はなかったが、和田健一郎消防長は「止血をしていなければ、出血多量で亡くなっていたかもしれなかった」と適切な対処をたたえた。

 23日に感謝状を受け取った秦さんは「何が起きたか分からなかったけど、体が勝手に動いた」と振り返り、「その場でできることを、当然のことをしたまでです」と照れ笑いを浮かべた。

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