無資格の技師が手術で縫合行為、虚偽報告露見し処分

 千葉市は、運営する市立海浜病院で昨年7月、医師免許を持たない臨床工学技士が手術時に患者の胸を縫合していたことが発覚したとして、指示した医師と処置した技師を処分した。4月にも同じ件で処分しているが、当初の説明が虚偽だったことが発覚し、それを受けての重い処分となっている。

ペースメーカー手術で医師が技師に縫合指示

 千葉市の発表によると、市立海浜病院で昨年7月に実施されたペースメーカーの交換手術で、医師免許を持たない臨床工学技士が患者の胸の縫合の一部を行っていた。関係者の聴取を進め、今年4月に一度、手術を行った医師と縫合した臨床工学技士が訓告処分を受けた。この時は、医師は技師が縫合を行ったことについて指示したのか問われ「よく覚えていない」、縫合した技師は「縫ったのは1針」と説明していたという。検証のため手術時の録画を確認しようとしたが何らかのトラブルで再生できず、説明が本当かどうか検証できていなかった。

 しかし7月、この録画映像が再生できるようになり、改めて手術の様子を検証したところ、担当医師が技師に指示を出し、技師が10針縫合していたことが分かった。病院側は2人が虚偽の説明を行ったとして訓告処分を取り消し、改めて減給10分の1、1ヵ月の懲戒処分を行った。なお、この手術を受けた患者にケガなどの被害は出ていない。

 千葉市病院局では今回の件に関し「市政への信頼を損なう結果となり、心からお詫び申し上げる」とコメントしている。

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