【新型コロナ】神奈川県、全数把握簡略化を当面見送り「国の取り扱いに矛盾」

神奈川県庁

 新型コロナウイルス感染者の全数把握を簡略化する政府方針を巡り、神奈川県は26日、実施には運用上の課題があるとして、解決が図られるまで現行の方法を続けることを決めた。同日開いた新型コロナ対策本部会議で確認した。

 政府は流行「第7波」で業務が逼迫(ひっぱく)する医療機関や保健所の負担軽減のため、個人情報を伴う発生の届け出を都道府県の判断で高齢者ら重症化リスクの高い人に限定できる方針を示した。一方で、感染者の総数と年代別の内訳は毎日公表することを求めている。

 厚生労働省が25日に示した簡略化に関する事務連絡を県が検討した結果、年代別の感染者総数を報告する上で、政府の情報共有システム「HER─SYS(ハーシス)」は改修が終了する来月20日前後まで活用できないことが判明。県独自のシステムを構築するなどしないと、報告が難しい状況という。

 さらに、重症化リスクが高い人以外は個人を識別する発生届がないにもかかわらず、医療費の公費負担や宿泊療養は可能とされており、個人を特定できない中で実際に運用するのは困難だと判断した。

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