ネコの浮世絵が一堂に 横浜そごう美術館

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 ネコが描かれた浮世絵を集めた「あそぶ浮世絵 ねこづくし」展が、横浜駅東口のそごう美術館で開催中だ。歌川国貞や歌川国芳、月岡芳年など、名だたる絵師による浮世絵約140点が並び、多様な姿態のネコを楽しむことができる。

 江戸時代、ネズミをとるネコは広く愛玩され、多数の浮世絵に登場。美人画では、ネコとじゃれる娘のモチーフが双方の愛らしさを際立たせるものとして好んで描かれた。ネコの毛の表現にはどの絵師も工夫しており、絵の具を使わないで刷りの圧力で無色の凹凸線をつける「空摺(からすり)」という技法が使われた。

 国芳は、懐にネコを入れたまま筆を執るほど大のネコ好き。そんな国芳が描くネコは、あくびをしたり、後ろ向きで魚を食べるのに夢中だったり、と自然な姿が捉えられている。

 戯作者の山東京山と国芳が組んだ「朧月(おぼろづき) 猫の草紙」は、ネコを擬人化したユニークな作品。かつお節問屋の飼い猫こまが主人公で、ドラマチックなこまの生涯を歌舞伎の名場面を取り入れて表情豊かに描いた。

 幕末から明治にかけて、子ども向けに描かれた「おもちゃ絵」では、擬人化されたネコが大活躍した。おもちゃ絵を得意とした国芳の弟子、歌川芳藤の「しん板大長屋猫のぬけうら」は、4段に分けて長屋の生活のさまざまな場面を描いたもの。魚や野菜の行商人から値切って買う様子などが、せりふ入りで細かく描き込まれている。温泉や学校の様子を描いたおもちゃ絵もあり、当時の風俗を面白く現代に伝える。

 さらに歌舞伎の舞台で人気を呼んだ化け猫などを、3枚続きで迫力いっぱいに描いた作品も並ぶ。

 会場では、作品に描かれた22匹のネコを来場者が選ぶ人気投票も行われる。エントリーされたネコの垂れ幕が会場のあちこちに下がり、記念写真を撮影できる一角もある。「楽しく見られるように企画した」と同館の大塚保子学芸員。大人から子どもまで浮世絵を気軽に楽しむことができる。

 5月8日まで。一般1000円、高校・大学生800円。ネコの鳴き声にちなみ4月22日は、ネコのモチーフを身に着けたり、ネコグッズを持参したりすると半額。問い合わせは同館電話045(465)5515。