航空功績賞にJAXA的川泰宣さん 「宇宙教育の父」長年の普及活動を評価

日本航空協会の航空功績賞に選ばれた的川泰宣さん(本人提供)

 惑星イトカワから微粒子を持ち帰った探査機「はやぶさ」プロジェクトのメンバーとして活躍した宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授の的川泰宣さん(80)=神奈川県大和市=が、航空宇宙全般の進歩発展に顕著な実績があると認められ、日本航空協会の航空功績賞に選ばれた。航空宇宙に関する教育・普及活動に尽力したことが評価された。

 的川さんは、JAXAの前身である宇宙科学研究所で大型ロケットの設計や日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに携わるなど、長年にわたりロケット開発や科学衛星の発展に貢献してきた。

 2005年にはJAXA宇宙教育センターを設立し、初代センター長として学校や地域と連携した教育支援活動を展開。12年からは「はまぎん こども宇宙科学館」(横浜市磯子区)の館長を務めている。07年度に神奈川文化賞を受賞した。

 同協会は「多くの著書や講演会を通じて若い世代を中心に大きな夢を与え『宇宙教育の父』と称された」と評価した。

 的川さんは神奈川新聞社の取材に「ご縁があって受賞し、大変恐縮している」と喜びを語った。宇宙研究の最前線で多くの困難を乗り越えた足跡を振り返り、「新型コロナウイルスが流行している現状で希望をなくしたという若い人たちが多いが、逆にそれをはね返してほしい」と話した。

 協会の表彰制度は1980年にスタート。航空功績賞は本年度、全国の6人が選ばれた。9月20日の「空の日」に都内で表彰式が行われる。

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