国葬は安倍氏=偉い人の観念を子どもに植付ける

 現代教育行政研究会代表の前川喜平・前文部科学事務次官は安倍晋三元総理の国葬に伴い「学校で半旗掲揚や黙とうが強制されれば、安倍さんを神格化し『偉い人だったんだ』という観念を子どもたちに植付ける」と総務省や文科省が葬儀委員長決定として「中央省庁で半旗(弔旗)と一定時間で黙とうを行う」との「お知らせ」レベルのものであっても、知らせを受けた関係機関や地方自治体、教育委員会がこれに忖度し、同様に行えば、安倍氏に対して誤った観念を子どもたちに植付けることになると慎重な対応を提起している。

 政府は国葬儀に際し「国民1人1人に安倍元総理への政治的評価や弔意を求めるものではない」と繰り返し発信しているが、さきの家族葬でさえ、自治体によっては半旗を揚げ、首長と総務担当者の判断で、教育委員会総務に掲揚を知らせ、国から要請がない中で、教育総務から知らせを受けた自治体の小中学校が半旗を掲げた事例が発生しており、開会中の議会でも問題になっている。

 国民1人1人に弔意を求めないとの政府の意図を反映させ、こうした知らせはしないことが自治体や教育委員会に求められる。

 前川氏は共産党機関紙「赤旗日曜版」(11日付け)で「国葬は教育とは正反対のもの」と指摘。そうした中で、第1次安倍内閣(06年~07年)の時「安倍さんは『教育再生』を掲げ、教育基本法を改悪し、道徳を教科化した。(狙いは)権威に従順な国民をつくるため」と警鐘を鳴らした。「国葬は教育再生の総仕上げみたいなものになると思う」とけん制。

 また安倍氏が安保法制で「閣議決定で何でもできる、との前例を作った」と問題視し「閣議決定はあくまで、国家公務員を拘束するだけの規範なのに、事実上、国民を拘束するようなものに転化してしまうところに恐ろしさがある」と国民に注意を促した。(編集担当:森高龍二)

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