米中競争はVR市場でも?中国Bytedance率いるVRブランド”Pico”の存在

スマートフォンやモバイル基地局分野を中心に米中競争が激化している現在、昨年より話題になっているメタバースの一分野、VR業界でも「中国」の存在感が増してきている。

Metaの対抗馬?価格が魅力なPico

昨年”メタバース”を推進するとして1兆円規模の投資とともに、VR 機器の老舗Oculusを買収したFacebook社は「Meta」に名称変更したとして話題にもなった。

そのOculusの主力VR製品「Oculus Quest 2」は高精細ディスプレイを備え、これまで10万円程度が当たり前だったスタンドアロンVR機器に革命を与えた存在でもある。

しかしメタバースで盛り上がっているのはアメリカ日本だけではない。TikTokの運営元などで知られる中国・Bytedance(字节跳动有限公司)傘下のVR企業「Pico Interactive」が日本でも頭角を現し始めている。(設立は2015年と新しくはない)

Meta Questの大幅値上げ

頭角を現し始めている理由の一つにMeta Quest 2の大幅な価格変更が挙げられる。Metaは主力製品であるMeta Quest 2の価格を37,180円から59,400円に値上げ(128GB)。急激な円安でさらなる値上げも懸念される。

一方で前述のPico Interactiveから今年6月に発売された「Pico Neo3 Link」は49,280円(税込)と、128GB版のQuest2と比べると10,120円も安い。更にAmazonでは48,220円とさらに安い。

ピコ(Pico) VR ゴーグル Neo3 Link 256GB スタンドアローン型 人間工学に基づくデザイン 低遅延のVRプレイ可能 A7H10 VR0423

家電量販店にはMetaの隣に…

また、最近では荷電量販店にも存在感を現し出している。ヨドバシカメラマルチメディア Akiba にはメタクエスト特設展示の隣にPicoの最新VR機種「Pico Neo3 Link」の姿が。売上ランキングもMeta Quest 2に次いで2位。

2位は保護シートにつき除外

価格面においてはMeta Quest 2より1万円程安いため、目移りする人も多いのではないかと思われる。ただ単純に安いわけではなく、Meta Quest 2とほぼ同じスペックであるのも大きな特徴。以下はスペック比較表。

項目Pico Neo3 LinkMeta Quest 2価格49280円59400円SoCQualcomm Snapdragon XR2Qualcomm Snapdragon XR2RAM/ROM6GB/128GB6GB/128GB(256GBあり)片目解像度1832×19201832×1920重さ(ストラップ付)620g503gリフレッシュレート90Hz120Hz視野角横98°・縦90°横97°・縦93°コントローラ6DoF6DoF指トラッキングー静電容量式の指トラッキング瞳孔間距離 (IPD)58mm~69mm58mm~68mmバッテリー5300 mAh3640mAh

搭載SoCや解像度は全く同じ

しかし単純に製品のスペックと価格だけでどちらを選ぶかを考慮するのは良くない。Meta Quest 2は最も使われているVR機器であるが故に、強力な自社アプリプラットフォーム・エコシステムが形成されている。Picoデバイスで利用可能な「Pico Store」と「Questストア」ではアプリの数の差が大きい印象。

パソコン有線を無線に接続する場合はSteam VR 対応のゲームが利用可能であるため、非スタンドアロンでの使用に関しては問題は少ないと思われる。(ワイヤレス伝送の質については様々な意見も)

新モデルPico 4シリーズ投入か

また、同社Pico Interactiveは新たなVR機器を開発しているという情報が7月下旬に米国機関への申請内容からリークされ、「Pico 4 Pro」「Pico 4」が発表される事が濃厚となっている。

Meta Quest 2は2020年発売でまもなく2年が経過しようとしているものの、後継機種の発表は未だ行われていない。Metaよりも先にPicoがPico Neo3 Linkの後継機種を発表する可能性も十分に有り得る。

ピコ(Pico) VR ゴーグル Neo3 Link 256GB スタンドアローン型 人間工学に基づくデザイン 低遅延のVRプレイ可能 A7H10 VR0423

ただし、Meta Quest 2は現在でもAmazon では在庫切れが発生するなど変わらぬ人気で、VR機器シェアではMeta Quest 2だけで50%近くを占めている。

今後の円安ドル高の経済状況などもあり未来の予測は簡単なものではないか、しばらくはアメリカ率いるMeta時代は続きそうだ。

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