“カチカチ”皿踊り 「のんのこ諫早まつり」 台風で短縮も3年ぶり開催

30年の集大成を披露したいと練習する諫早まつりのんのこ連のメンバー=諫早市、市民センター

 のんのこ皿踊りで知られる「のんのこ諫早まつり」(同振興会主催)が17日、長崎県諫早市東小路町の中央交流広場(雨天時は市体育館)で開催される。台風の影響で期間は2日から1日に短縮されるが、3年ぶりのまつりに心躍らせる市民は少なくない。
 のんのこ皿踊りは、江戸時代が起源とされる民謡「のんのこ節」に合わせ、両手にそれぞれ持った小皿2枚をカチカチ打ち鳴らしながら踊る諫早市の郷土芸能。リズムや振り付けが異なる「道行き」「新のんのこ」「まつりのんのこ」などがあり、幅広い世代に親しまれている。
 コロナ禍でまつりが中止となった2年間。「諫早まつりのんのこ連」(江副恵美子代表、16人)のメンバーは「火が消えたよう」と意気消沈しながらも踊りの練習を欠かさず続けてきた。「まつりのんのこ」の普及を目的に発足した1990年以来、毎年まつりに出演。小学校などを積極的に訪れ、リズミカルな曲に合わせ「腕をピンと伸ばして元気よく踊る」ことを指導している。
 のんのこ連メンバーによると、諫早の宴会には皿踊りを楽しむ風習があり「中にしょうゆが残っていても、小皿があれば鳴らしたくなる」と歌いながら踊ったという。地元の文化を語る上で欠かせない踊りとして江副さんは「全国的にも珍しく、諫早の誇り」と胸を張る。「今年は発足後30回目の出演。これまでの感謝の心や、発足当時の熱い思いを舞台の上で表現したい」と満面の笑みで話した。
 まつりには各地区の郷土芸能も出演を予定していた。披露中止となった飯盛町田結地区の「田結浮立」は、奈良時代に起源を持つ県無形民俗文化財。室町末期の面影を残す垣踊りから江戸中期の笛の曲で踊る行列の芸まで、多彩な種類を組み合わせた伝統芸能。担い手不足解消のため、今年初めて地区外にも参加者を募集したところ、約20人が加わり練習を重ねた。
 田結浮立保存会の田平満会長(72)は「地元以外からも注目されていると実感できた。発表の機会は伝統を守ることにつながる。12年ぶりの大舞台で多くの人に参加してみたいと思ってもらえる演技を披露したかったが、台風では仕方ない」と肩を落とした。

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