新型コロナ 発生届対象見直し 政府方針受け県 陽性総数把握は継続

 全ての新型コロナウイルス患者の情報を確認する「全数把握」について、政府が26日から全国一律で見直す方針を示したことを受け、県は21日、引き続き陽性者の総数把握に努める方針を示した。一方で発生届の対象について、65歳以上など重症化リスクの高い患者に限定。対象外となるリスクの低い患者は、県が設置した陽性者登録センターに自己申告の形で登録してもらうことで情報を把握し、必要なサポートを行う。

 県が同日の新型コロナ対策本部員会議で、26日からの対応を説明した。

 政府の方針を踏まえ、県は引き続き患者の総数把握に努める一方、届け出に関する対応を見直した。▽65歳以上▽入院を要する人▽新型コロナ治療薬の投与が必要な人▽妊婦▽基礎疾患や症状により医師が健康観察を必要と判断した人―など重症化リスクのある人については、これまで通り国の情報システム「ハーシス」を活用して医療機関が発生届を作成。氏名や症状など約40項目の情報を把握し、保健所や県の健康サポートセンターが患者の支援に当たる。

 発生届の対象にならない重症化リスクの低い人については、医療機関を受診して陽性が判明した場合、自身で陽性者登録センターに氏名などを登録。必要に応じて健康観察ツール「マイハーシス」で宿泊療養や配食などの支援を要請する。抗原検査キットなどによる自己検査で陽性が判明した場合も、自ら同センターに登録することで同様の支援を受けられる。

 県によると、今回の変更によりクラスター(感染者集団)発生や、患者の居住地などの把握は困難になる。達増拓也知事は「発生届の対象者は見直すが、年代別の陽性者全数を把握して公表を継続する。県民には新規感染がさらに減少するよう一人ひとりが場面に応じた感染対策を徹底してもらいたい」と話した。

© 岩手日日新聞社