安倍晋三元首相の国葬について、「暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意」と意義付ける岸田文雄首相に対し、反対派は「民主主義の破壊」と衝突する。「民主主義」がマジックワードと化し、分断を深めていないか。
岸田首相はウルトラマン─。時事ネタで人気のお笑い芸人「せやろがいおじさん」こと榎森耕助さん(35)は今月配信の動画でそう例え、閣議決定のみで国葬に突き進む首相にツッコむ。「民主主義を守るための国葬で民主主義破壊してんのよ。街を守るための戦いで街を破壊するウルトラマンと同じ」
反対派に対し、自民党内から「黙ってろ」(北海道議)、「議論すべきじゃない」(二階俊博元幹事長)と、反論を抑え込む発言も飛び出した。自由な言論の封殺にあらがうための国葬ではなかったか。榎森さんは「政府・自民党は言ってることと、やってることがむちゃくちゃだ」と批判する。
そもそも旧憲法下の国葬は天皇の勅令に基づき、中央大の宮間純一教授(日本近代史)によると、国民統合の性質があった。「戦後の民主主義になじまない」と言い切る。