愛知の男性、原爆ドーム保存に1億円寄付 「いつか人のために」と貯蓄

 

原爆ドーム

  ロシアのウクライナ侵攻が続く中、愛知県の男性が平和を願い、世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)の保存のため、市へ1億円を寄付していたことが27日、分かった。ドーム保存の寄付では、2016年11月の広島東洋カープと並んで最高額となる。

 寄付したのは愛知県内の元会社社長の男性(80)。8月3日に1億円を振り込んだ。広島にゆかりはないが、ウクライナ報道に触れる中で、平和を訴える象徴として原爆ドームが思い浮かび、傘寿の節目に寄付を決めたという。

 男性は夜間高校に通いながら住み込みで働き、22歳で独立。テント倉庫などの設計・施工会社を1代で興した。1億円は「いつか人のために役立てたい」と貯蓄していた。中国新聞の取材に「戦争が起きないように、ドームの維持に役立ててほしい」と願った。

 ドーム保存に充てる市への寄付は年100件以上あり、21年度は計2750万円だった。市平和推進課は「平和への思いを寄付の形で託してもらいありがたい。維持・補修に活用したい」としている。

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