心の悩み打ち明けて 平塚で「まちの保健室」

 地域で安心して暮らすために、ストレスや悩みの軽減など心のケアに焦点を当てた「まちの保健室」が月2回、神奈川県平塚市八重咲町のひらつか市民活動センターで開かれている。心理カウンセラーの宇野努さん(51)が代表する市民団体「こころをつなぐ平塚」が運営。参加者は子育てや家庭内問題、仕事関係などの悩みを持ち込み、それぞれが思いのたけを吐露する。

 日々の悩みを吐き出せる場をと、日本メンタルヘルス協会の公認心理カウンセラーの資格を持つ宇野代表らが2013年2月に開設。「悩みを話せたことが『情動発散』になる。参加者の共感を得ることで承認欲求が満たされる」と宇野代表は効果を明かす。目指すのは、保健教諭が優しく悩みを聞いてくれた「放課後の保健室」だ。

 不登校や介護問題など社会問題化している内容も多く、これまで横浜市や藤沢市、真鶴町など県内各所から訪れるという。

 ▽話す内容は問わない▽聞く側に答えがなくてもよい▽発言者の話を受け入れて受け止める−が参加者のルール。グループ形式で行われ、感想を話す機会は公平に与えられる。途中の入退室も自由だ。

 今月13日の「保健室」では、小学5年から不登校が続き、中学2年になって外出するなど好転の兆しを見せた次男について語る女性や、自律神経失調症と更年期障害で心理的に負のスパイラルに陥った主婦らが、それぞれの胸の内を明かした。

 「息子さんといい距離感で応援している」「『何で』ではなく、『どうしたら』と考えることで解決方法を前向きに探せる」などと、宇野代表や参加者らが好意的に感想を述べると、発言者の表情が明るくなった。

 ことしから「保健室」に通う平塚市内の50代女性は「友人だと悩みを打ち明ける難しさもある。悩みを持つ時点でどこかに生きづらさを感じているが、ここでは自己肯定感を持てる」と前向きに変わっていた。

 参加費1回500円。28日と5月11、26日にも開催される。問い合わせは、同センター電話0463(21)7517。

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