40周年!早見優「Affection 2」クオリティ高いダンスミュージックが満載  聴いて感じたい“早見優のヒストリー”

ベストアルバムAffectionで聴ける“人生の転機を迎えた早見優の約10年間”

10月12日に早見優のデビュー40周年記念アルバム『Affection ~YU HAYAMI 40th Anniversary Collection~』がリリースされる。8月21日に自身のSNSで、それまで所属していた事務所を離れ独立することが発表されたが、そんな新たなスタートを切ったタイミングでリリースされる3枚組のアルバムだ。

このアルバム『Affection ~YU HAYAMI 40th Anniversary Collection~』のDISC1には、1982年のデビュー曲「急いで! 初恋」から、1985年のシングル「CLASH」までが収録されているが、15曲中9曲がTOP10入りを果たしているヒット曲満載のDISCだ。先日、早見優さんにインタビューさせていただいた時に、自身の転機になった曲は1985年のシングル「Tonight」だと語っていたので、1985年からの作品はかなり自身の意見も反映されている曲が多いと思う。

そして、今回ご紹介するのは『Affection ~YU HAYAMI 40th Anniversary Collection~』のDISC2。1986年の「西暦1986」から1995年の「CHANCE〜めぐりあいを、宝石にかえて〜」までのシングル15曲が収録されている。この時期の早見優は、当時のアイドルとしては非常に珍しく大学受験に合格し、大学生活を送っている。80年代後半からはミュージカルが活動の基盤となり、特に「オズの魔法使い」は1989年~1994年までのロングラン公演になっており、このDISC2にはそんな人生の転機を迎えた早見優の約10年間の楽曲が収録されている。

洋楽の日本語カヴァーを彷彿とさせるロックサウンドやダンスビートが人気に

1986年の第一弾シングル「西暦1986」は当時世の中を席巻していた洋楽の日本語カヴァーを彷彿とさせるロックサウンドで、1986「コカ・コーラ」イメージソングに起用されている。早見優の楽曲がCMに起用されたのは「夏色のナンシー」から実に3年ぶりとなった。

続く「Newsにならない恋」はCHAGE&ASAKAのCHAGEが作曲を手がけたポップナンバーで、TOP10入りを果たすヒットになっている。そして1986年の3枚目のシングル「Love Station」はキャッチーなメロディーのロックアレンジが特徴で、『ミュージックステーション』の初期テーマ曲として放送開始直前の番組宣伝のCMに使用されていた曲だ。

続く1987年の第一弾シングル「ハートは戻らない」は、ドイツ出身の女性シンガー、Lady Lily (レディ・リリィ) の1986年のヒット曲「Get out of my life」のカヴァー曲だが見事ヒットとなり、音楽番組『ザ・ベストテン』にチャートインしている。1984年の「誘惑光線・クラッ!」以来久々のランクインとなったこの曲は、2週目の出演時にはザ・ベストテン用にスペシャル・リミックスバージョンを披露している。ちなみに本作には収録されていないが、「ハートは戻らない(DANCE RE-MIX)」として12インチシングルも発売されている。

そして続くシングルは「Caribbean Night」。前年に大ヒットした「PASSION」を提供した、シンガーソングライター中原めいこによる書下ろし曲で、1987年夏のテレビ朝日『カリブキャンペーン』テーマソングとして起用されている。

「Caribbean Night」の発売から早くも2か月後には「Tokio Express」が発売されている。早見優の雰囲気に似合っているダンスビートが特徴のこの曲は、コーセー化粧品・1987年秋のキャンペーンソングとして起用されている。ジャケットの彼女もすっかり大人のシンガーになり、ますます美しくなっているのがわかる。

そして1987年、4枚目のシングル「Lonely Liar」。メロディアスなダンスチューンアレンジが特徴のこの曲は、早見本人も出演したテレビドラマ『みんなマドンナ』(日本テレビ系)の主題歌に起用されている。早見優として初のドラマの主題歌なるが、当時このドラマをご覧になっていた方は毎週この曲を耳にしていたはずだ。

80年代終盤は洋楽のダンスナンバーを意識したアレンジが特徴

1988年になるとミュージカルへの出演もあり、レコードリリースのインターバルが長くなり2枚のシングルが発売されている。前年に発売された「Tokio Express」に続き、コーセー化粧品・1988年夏のキャンペーンCMソングに起用された「GET UP」。夏のキャンペーンソングらしく、洋楽のダンスナンバーを意識したアレンジが特徴だ。そして1988年のもう一枚のシングル「Yesterday Dreamer」は海外アーティストによる書下ろしのナンバーで、日本語詞は三浦徳子が手がけている。

1989年も2枚のシングルがリリースされたが、デビュー以来所属していたトーラスレコードの契約がこの年で終了している。3年連続でコーセー化粧品のキャンペーンソングに起用された「BEAT LOVER」は、切ないメロディーが特徴のユーロビート系のアレンジの1曲。

ジャケットに写るロングヘア―の早見優はすっかり大人の魅力満載でドキッとさせられる「夕映えの中で」。長らく続いていたダンス系アレンジは影を潜め、シティポップのエッセンスが香るこの曲は、1989年交通安全キャンペーン・CMソングに起用され、80年代最後のシングルとなった。

聴いて感じたい“早見優のヒストリー”

その後、トーラスレコードから東芝EMIに移籍した早見優だが、東芝時代は4枚のシングルをリリースしている。残念ながらヒットにはならなかったが、現在入手困難のため、今回の作品で改めて聴いていただけるのは大変嬉しく思う。

約2年ぶりのリリースとなった1991年のシングル「ヘップバーンによろしく」は作曲を上田知華が手がけた壮大なアレンジのバラードで、上田知華の難しいメロディーを歌いこなす、早見優の新境地と呼べる1曲だろう。

1992年のシングル「ほほ笑みあえる」は春らしいさわやかなアレンジだが、「ヤマザキ・春のパン祭り」のキャンペーンソングとして起用された。そして1994年のシングル「SHOOTING STAR」は早見優の別名義BANILLA BLでリリースされた、80年代後半の早見優の作品を彷彿とさせるユーロビートアレンジの1曲で、神戸マリンルートキャンペーンソングに起用されている。

そして、このDISC2最後の曲「CHANCE〜めぐりあいを、宝石にかえて〜」は、「PASSION」「Caribbean Night」を手がけた中原めいこの書下ろし曲で、TOP100入りを果たしている。当時の中原めいこはすでに表舞台から退いており、ある意味レアな書下ろし曲と言えるだろう。

『Affection ~YU HAYAMI 40th Anniversary Collection~』のDISC2は、早見優の雰囲気にぴったりなダンスアレンジの楽曲を多く収録しているのが特徴だが、DISC1に比べるとヒット曲は少ないとは言え、とてもクオリティの高い作品が丁寧に制作されている。発売順に収録されているので、少女から大人のシンガーへの移り変わっていく、早見優のヒストリーと聴いてくださるみなさん自身のヒストリーを重ね合わせながら聴いていただけると感動も2倍になるかもしれない。

DISC3のコラムも、どうぞお楽しみに!

カタリベ: 長井英治

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