神奈川の特殊詐欺被害増加 9月までで昨年1年分超える 「1千万円超」被害相次ぎ

神奈川県警本部(資料写真)

 神奈川県警は14日、今年1~9月に認知した特殊詐欺の統計(暫定値)を発表し、被害額が前年同期と比べ約1.6倍の約26億9300万円に上り、3カ月を残し、昨年1年間の被害額(約25億8400万円)を超えたことが分かった。手口別では、親族らに成り済ます「おれおれ詐欺」も約14億1千万円で昨年1年間(約12億2900万円)を上回った。9月に1千万円を超える高額被害が相次いだことが影響した。

 県警が9月に認知したおれおれ詐欺の被害額は、約2億3200万円(前月比約3100万円増)で、比較できる2020年1月以降、過去最悪となった。

 横浜市緑区の80代女性が同7日、息子を装った男らに現金1200万円を詐取された。病院職員や息子を装った男から「息子さんが急病で緊急搬送されてきた」「かばんをなくした。金が必要だ」などとうその電話が続いたという。さらに同14~15日にも、同市港北区で90代女性がおいを装う男らに現金1500万円などをだまし取られた。

 同市泉区では同6日に、70代の無職女性が泉署員を装った男2人に現金3650万円などをだまし取られる被害があった。

 県警によると、女性宅に同署刑事課の警察官を名乗り「家電量販店であなたのキャッシュカードを不正利用した者を捕まえた」「自宅に保管中の現金も偽札とすり替えられている疑いがある」などと電話あった。その後、警察官を装った別の男が女性宅を訪れ、女性は現金とカード5枚を手渡した。カードからは170万円が引き出された。

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