中国、長征11号の打ち上げに成功 衛星測位システムの増強技術を試験する衛星が搭載される

中国は、現地時間2022年10月7日、2機の試験衛星を搭載した「長征11号」ロケットの打ち上げを実施しました。中国の宇宙開発を実施する中国航天科技集団有限公司(CASC)によると、打ち上げは成功し、搭載されていた衛星は無事に予定した軌道へ投入されたということです。

【▲海上発射された「長征11号」ロケット(Credit: 于吉松, CASC )】

長征11号は、北京時間2022年10月7日21時10分、中国・黄海上の移動式打ち上げプラットフォームから打ち上げられました。CASCによると、今回の発射では打ち上げの安全と信頼性の確保を前提として、海上航行時間を減らし、任務にかかる時間を短縮するために、プラットフォームは海岸から3kmしか離れていませんでした。また、打ち上げの技術が成熟したことで、打ち上げ契約の締結からロケットの発射準備完了までに要した期間は4か月間だったといいます。

今回の打ち上げミッションで搭載された衛星は、衛星測位強化システムを備えた試験衛星「微厘空間(CentiSpace)S5」「同S6」の2機です。この衛星は、中国が運用する衛星測位システム「北斗(BeiDou)」のリアルタイム監視や衛星航法補強システムの運用、衛星間レーザー通信試験に使用されるということです。

【▲輸送中の「長征11号」ロケット(Credit: 王志刚, CASC)】

CASCの下部組織である中国運載火箭研究院(CALT)が開発と製造を行う長征11号は、全長20m・直径2m・重量58t・推力120tの4段式ロケットで、高度700kmの太陽同期軌道に350kg、地球低軌道に700kgのペイロードを輸送する能力を持ちます。打ち上げは陸上と海上の両方から実施が可能で、これまでに陸上からの打ち上げを10回、海上からの打ち上げを4回行なっており、すべて成功しています。初飛行は2015年9月25日の酒泉衛星発射センターからの打ち上げで、4機の小型衛星を軌道へ投入することに成功していました。

CALTによると、長征11号は主に自然災害などの緊急時における小型衛星の打ち上げ需要を満たすために使用され、任務命令後24時間以内にロケットの打ち上げ準備と発射準備を完了できるということです。長征11号は、今年中にあと2回打ち上げられる予定です。なお、長征ロケットシリーズの打ち上げは、今回が441回目となりました。

Source

  • Image Credit: 于吉松, 王志刚, CASC
  • CASC \- 长征十一号一箭双星海上发射成功
  • CASC \- China sends two satellites into space via offshore rocket launch
  • CALT \- 14连胜!长十一火箭“一箭双星” 献礼新中国成立73周年
  • CALT \- 長征十一号
  • Space.com \- China launches pair of navigation enhancement satellites from sea platform

文/sorae編集部

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