アクションヒーローの哀愁!渡辺宙明が手掛けた特撮エンディングテーマの黄昏感  放送時間は夕方… その光景も思い起こさせる名曲

アニソン・特ソンのエンディングテーマに良く似合う曲とは?

アニソン・特ソンでも特に、アクション物・ヒーロー(ヒロイン)物のエンディングテーマは、勇壮なオープニングと対比して、激しい闘いのあとの余韻に浸れるような、しんみりとした曲がよく合います。

例えば『デビルマン』(1972年)で言うとオープニング「デビルマンのうた」に対するエンディング「今日もどこかでデビルマン」、『キューティーハニー』(1973年)における「キューティーハニー」と「夜霧のハニー」、『ドロロンえん魔くん』における「ドロロンえん魔くん」と「妖怪にご用心」…ってなぜか永井豪先生原作の作品ばかり挙げてしまいましたが、他意はありません。

そしてここで前回(『追悼 渡辺宙明「マジンガーZ」に代表されるヒーローソングの不滅のチカラ!』)に続き、渡辺宙明先生が書かれた曲について触れる訳ですが、宙明先生のエンディングテーマの中には、もちろん『バトルフィーバーJ』(1979年)の「勇者が行く」、『宇宙刑事ギャバン』(1982年)の「星空のメッセージ」などが、正に絵に描いたような“激しかった闘いの余韻に浸ることのできる正調エンディングテーマ”もありますが、その一方で、オープニングに負けぬくらい勇壮なエンディングテーマもあり、その代表格として『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)の「秘密戦隊ゴレンジャー」が挙げられると思います。曲名を聞いてピンと来ない方も、「ほらあの、『♪バンバラバンバンバン』ですよ!」と言えば思い出してくださる方も多いのでは。   あるいは『電子戦隊デンジマン』(1980年)のエンディング「デンジマンにまかせろ!」も、成田賢さんの熱唱と相まって、オープニングと見まごう “激しくかっこいいエンディング” になっています。

メロディの奥底に隠されたヒーローの哀愁と“黄昏感”

しかしながらこれらの激しいエンディングも、なぜかワタシなどは聴くたびに決まってしんみりしてしまうのです。なぜか? もちろんこれらの勇壮な曲においても、隠し味としてメロディーの奥底にヒーローの哀愁が表現されているからに他なりませんが、のみならずリアルタイムでこれらの番組を見ていた世代ならではの感覚、すなわちこの曲が流れていた当時の “黄昏感” ゆえの “しんみり” があります。

今でこそスーパー戦隊シリーズと言えば日曜日朝の時間帯に放送される番組(通称ニチアサ)として定着していますが、『ゴレンジャー』や『デンジマン』などシリーズ初期の作品は、(少なくとも関西地方では)金曜日や土曜日の夕方に放送されていました。ですからこれらのエンディングを聴くたびに、どうしても本放送当時の光景、すなわち番組の始まった時刻はまだ明るかった部屋の中も、エンディングを聴く頃にはすっかり薄暗くなっている…… という光景が思い出されるのでした。

中でも個人的には『デンジマン』が印象深く、放送当時中学1年だった私は、毎週金曜の夕方に、エンディング「デンジマンにまかせろ!」を聴き終えてから塾に行く、というシチュエーションだったもので、この曲を聴くたびに今でも当時のやや憂鬱な気分さえ蘇ってくるのですから、この曲から滲み出る黄昏感にも困ったものです。

アレンジャー筒井広志の冴え! 強烈な“黄昏感”

 宙明先生以外の方の曲で言えば、小林亜星先生作曲による『超電磁ロボ コン・バトラーV』(1977年)のエンディング「行け! コン・バトラーV」や、津島利章先生による『プロレスの星 アステカイザー』(1977年)のエンディング「ファイト! アステカイザー」あたりにも、強烈な “黄昏感” があります。

いずれも夕方に放送されていた番組ですが、この二曲の共通点はどちらも編曲が筒井広志先生によるということ。この “黄昏感” の秘密は筒井マジックに隠されているのかも? このあたり、もう少し掘り下げてみたい領域です。

とかなんとか書き並べてきましたが、今これらの曲を知る世代の人間が聴いた時には間違いなく「懐かしさ」という要素が伴い、それによってさらに増幅された“黄昏感”によってしんみりしているに違いありません。ですからこれらの曲を全く知らない世代の方が聴いた時にはどんな印象を持たれるのかなぁ、ということに興味があります。昭和のアニソン、特ソンのエンディングテーマが令和の時代に新たな感覚で受け入れてもらえると嬉しく思います。

カタリベ: 使徒メルヘン

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