「菅前首相は1人分、岸田首相は1世帯分」光熱費月5千円軽減に冷めた声 政府与党内は不協和音

左から菅義偉前首相、岸田文雄首相(資料写真)

 物価高騰対策として政府が先週末に打ち出した総合経済対策への反応に、岸田文雄首相が神経をとがらせている。週が明けた31日、官邸は情報収集に追われた。最大の焦点は「光熱費軽減」への国民の反応。菅義偉前首相(衆院神奈川2区)の評価を高めた「携帯料金引き下げ」に匹敵するとの意気込みで打ち出した総理肝いりの政策だが、週末に選挙区に戻った与党議員からの情報は「総理に上げられないものばかり」(内閣府スタッフ)という。

 「同じ月5千円削減でも菅さんは1人あたり。岸田さんは1世帯分を合わせてやっとでしょ」。県選出の自民議員は支持者の冷ややかな反応に衝撃を受けた。携帯料金引き下げは契約者個人へ還元されている。一方の光熱費への対策は対象が電気、ガソリンなど細分化し、効果が見えにくい。

 東北など地方選出議員へは、LPガスが直接の支援対象に含まれなかったことから「都市部しか大事にしないのか」との不満をぶつけられた。「値上げ率が都市ガスより低い」(西村康稔経済産業相)が政府の釈明だ。

 しかし、この課題を巡る国会審議では「もともとLPガスは割高だから配慮が必要」(10月18日の衆院予算委員会、立憲民主党の後藤祐一氏)との野党発言に与党席からも拍手が聞かれた。政府与党内の不協和音も露呈している。

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