反撃能力議論でなく発動の在り方 有識者会議

 国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議で佐々江賢一郎座長(日本国際問題研究所理事長、座長含め10人で構成)が9日示した「論点整理」で、「反撃能力」について「能力を保有すること自体を議論するというのはもう遅く、能力をどのように発動するのかが重要だ。発動について、例えば国会承認などの政治レベルにその発動の権限を付与するなどの議論が必要」と保有の有無議論を超え、発動の在り方を議論すべきとの意見が出ていた。

 また研究開発について「政府、大学、官民一体で防衛力強化につながる研究を進める仕組みつくりは早急に取組むべき問題。科学技術関係予算(約4兆円)のうち、防衛省は約1600億円で、文科省(2兆円)の約8%に過ぎない。役所の枠を超えて、目標を高く掲げて研究開発に取組むべき」との意見があげられていた。

 公共インフラでは「台湾有事の際、拠点となる南西諸島の空港や港湾などの既存インフラは安全保障上の資産になり得る。有事を見越した備えを平時から政府全体で取組むことをこの会議で示していくべき」などの意見が出ていた。(編集担当:森高龍二)

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