4期連続で判断据え置き 山口県内経済情勢は「持ち直している」

 財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、2022年10月判断の「山口県内経済情勢」について「県内経済は、持ち直している」と総括判断した。今年1月以降4期連続で、前回判断を据え置いた。
 その要点は、「『個人消費』は緩やかに持ち直している。『生産活動』は一部に供給面での制約の影響がみられるものの、持ち直している。『雇用情勢』は緩やかに持ち直しつつある」とした。さらに、「設備投資」は前年度を上回り、「企業収益」は減益見込み。また「住宅建設」は前年を下回り、一方「輸出」は前年を上回る。
 そして、11月以降の「先行き」については「ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある」としている。

企業の声

 ヒアリングした企業からは、

  • 「省エネ性能の高いエアコンや冷蔵庫の買い替え需要が高まる一方で、巣ごもりやオリンピック需要の一服からテレビやパソコンが不調となっている」(家電大型専門店)
  •  「半導体不足による完成車メーカーの減産が長引いており納車の遅れがみられるものの、新型車の受注好調もあって需要は底堅い」(自動車販売店)
  •  「行動制限がなく全体的に人流が増加している。気温の上昇により飲料やアイスクリームが好調」(コンビニ)
  • 「コロナ禍で好調となっているスキンケア化粧品に加え、外出機会の増加から日焼け止めやメイクアップ化粧品の売り上げが伸びており、商品の種類を拡充している」(百貨店)
  • 「水産物などの食料品や電気・ガス代などが値上がりしているが、販売価格への全面転嫁は難しく、利益面で影響が出ている」(飲食)
  • 「行動制限がなく、各種イベントが開催されたことに伴って、宿泊者数は増加している。今後も『全国旅行支援』などの喚起策もあって観光需要の高まりが期待される」(宿泊)
  • 「上海市のロックダウンによる部品調達難の影響は緩和しているものの、半導体不足の影響は依然として続いており、部品の調達状況に応じた生産が続いている」(輸送機械)
  • 「国内では首都圏の再開発やリニア等、案件単位での需要はいくつかみられるが、全体的には需要が低調。輸出については、東南アジア向けなどの出荷が堅調」(窯業・土石)
  • 「ロシア・ウクライナ情勢悪化の長期化や急激な円安の影響による建材や燃料価格の高騰などの影響が続いている。上海市のロックダウンによる資材調達の影響は、依然として建設工事の遅れとして残っているが、市況への影響は徐々に緩和されつつあるとみている」(鉄鋼)
  • 「国内外ともに中食需要が引き続きあり、食品のフィルム向けが堅調。半導体向け需要が高まっているため、設備を増設し、生産能力を強化した」(化学)
  • 「半導体の需要拡大を受けて生産設備を増強しており、新規、中途、派遣ともに採用人数を増やしている」(情報通信機械)
  • 「イベントの開催に伴い、受注が増加傾向にあることから、人手不足感が増している」(広告)
  • 「コロナ禍で求人を控えていた企業が採用枠を拡げており、新卒採用の人数確保が難しくなっている」(小売)

 などの声が聞かれた。

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