コリア国際学園放火、被告に懲役3年求刑 検察側「差別は許されない」 大阪地裁

被告への論告求刑があった大阪地裁=大阪市北区

 在日コリアンが運営する大阪府茨木市のインターナショナルスクール「コリア国際学園中等部・高等部」に侵入して火を放って床を焼損させたり、国会議員の事務所に侵入したりし、建造物損壊や窃盗未遂などの罪に問われた同府箕面市の無職、男の被告(30)の論告求刑公判が17日、大阪地裁(梶川匡志裁判官)であった。検察側は犯行が差別に基づくものであったと非難した上で懲役3年を求刑した。弁護側は執行猶予を求めた。判決は12月8日に言い渡される。

 被告は、3月1日に辻元清美参院議員の事務所(同府高槻市)に侵入し窃盗未遂罪、5月4日に創価学会施設(大阪市)の窓ガラスを割った器物損壊罪でも起訴されており、検察側は一連の犯行を「特定の政治思想、国籍、信仰へのゆがんだ憎悪から及んだ」と指摘。「思想、信仰の自由は憲法で保障され、国籍による不合理な差別も許されない。犯行動機は反社会的で正当化の余地はない」と断じた。

 さらに、被害を直接受けた各施設の関係者だけでなく「異なる属性を有することのみを理由に危害を加え、社会にも強い不安感を抱かせた」と強調し、ヘイトクライムの害悪の広がりにも言及した。

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