小田原市民に59年間愛されつつも閉館し、来年1月に取り壊される旧市民会館(同市本町)のホール1、2階にあった壁画の一部が保存・修復され、12月に再び公開される。抽象画の模様がひびや染みと間違われて市も長年壁画として認識していなかったが、市民グループの調査で閉館直前に国内でも珍しい大壁画として“再発見”された。市民グループは「市民会館の思い出が次世代までつながってくれれば」と期待を寄せる。
壁画は同館大ホール1階にある高さ3メートル、幅22メートルの赤い壁面に黒い染みのように描かれ、2階は幅11メートルにわたり青い壁面に亀裂や傷跡のような模様が広がっていた。1962年の開館時に現代芸術家の西村保史郎さん(15~2015年)が描いたが、時の流れの中で忘れ去られていた。
同館が21年に閉館するのに合わせ、市民らでつくる「小田原市民会館思い出アーカイブ隊」の調査で壁画の隅に西村さんのサインを発見。市の依頼で東海大学の田口かおり准教授が壁画の一部を壁面からはがし、保存することになった。