神奈川の特殊詐欺被害 前年比1.5倍の30億円 1~10月 「おれおれ」「還付金」が7割以上

神奈川県警本部

 神奈川県警が今年認知した特殊詐欺の統計(暫定値)で、1~10月の被害額が前年同期と比べ約1.5倍となる約30億円(前年同期比412件増)に達したことが分かった。既に昨年1年間の被害総額を超えていて、4年ぶりに被害額が増加に転じる。このままの水準が続けば前年比2割増という危機的状況で、県警捜査2課は「摘発によって詐欺組織の実態解明に取り組みたい」と警戒を強めている。

 息子や孫などをかたる「おれおれ詐欺」、医療費などの還付金名目で現金を振り込ませる「還付金詐欺」の被害が全体の7割以上を占め、被害額増加の要因となった。過去に流行した詐欺の手口が再燃している格好だ。県警捜査2課は、この二つについて「増加が今年に入ってから顕著」としつつ、増加した理由については「確たるものがない」としている。

 1~10月の累計でみると、還付金詐欺の被害額は前年同期比2.3倍となる約7億1100万円に急拡大した。おれおれ詐欺も急増し76%増の約15億6700万円に達した。

 還付金詐欺の被害者は60代が全体の53.5%を占め、70代の32.7%を上回る比率となっている。おれおれ詐欺の被害者は68%が80代以上であるのと比べ、比較的若い年代がだまされる手口が急増している傾向がうかがえる。

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