スペースX、インテルサットの通信衛星2機を打ち上げ ファルコン9ロケット第1段機体は使い捨て

スペースXは2022年11月12日、通信衛星会社「インテルサット(Intelsat)」の通信衛星「ギャラクシー31(Galaxy31)」と「ギャラクシー32(Galaxy32)」を打ち上げました。衛星は予定の軌道へ投入され、衛星自身の推進機能を用いて、静止軌道へ投入される予定です。

【▲ ケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられるファルコン9ロケット(Credit: SpaceX)】

2機の衛星を搭載した「ファルコン9」ロケットは、アメリカ東部標準時2022年11月12日11時6分、フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第40発射施設から打ち上げられました。フロリダ半島に上陸したハリケーン「ニコル」の影響で、当初の予定より4日遅れての実施でした。

ギャラクシー31は、同日11時46分にファルコン9の第2段から分離され、同日11時59分に衛星からの信号を受信しました。ギャラクシー32は、同日11時41分に分離され、11時50分に信号を受信したということです。

今後、2機の衛星は自身の推進機能を用いて静止軌道へ投入され、軌道上での試験を行った後に運用が開始されます。インテルサットによると、ギャラクシー31・同32ともに2023年初頭の運用開始を目指しているということです。

【▲ ギャラクシー31(下)・ギャラクシー32(上)は垂直に結合されて、ロケットに搭載される。(Credit: Intelsat)】

ファルコン9ロケットの第1段機体は今回が14回目の使用となりましたが、今回はすでにお馴染みとなった機体の再帰還と着陸は実施されませんでした。第1段を回収するには推進剤が残っていなければならないものの、SpaceflightNowによると、今回の打ち上げでは「ロケットの推進剤を2機の衛星の打ち上げにすべて使用する」必要があったということです。そのため、インテルサットはスペースXに対して追加料金を支払いました。

今回飛行した第1段機体は、2019年3月に実施された有人宇宙船「クルードラゴン」の無人飛行試験「Demo-1」で初めて使用。その後は、2019年6月に打ち上げられたカナダ宇宙庁の地球観測衛星「RADARSAT」、2020年12月に打ち上げられた通信衛星「SXM-7」、10回の「スターリンク」打ち上げミッションで使用されてきました。

ギャラクシー31・同32は、インテルサットが運用するCバンド通信衛星で、主に北アメリカ地域を対象としたテレビ電波を送信します。北米の視聴者に向けて高性能な配信を行い、インテルサットの顧客にサービスを提供するということです。衛星の製造と組み立てはマクサー・テクノロジーズ(Maxar Technologies)社が実施しました。

ギャラクシー31は、西経121度に配置されている「ギャラクシー23」と置き換えられます。また、ギャラクシー32は西経91度に配置されている「ギャラクシー17」と置き換えられます。

【▲ マクサー社の衛星製造工場にて撮影されたギャラクシー31(左)と同32(右)(Credit: Maxar)】

2機の衛星は、米国・連邦通信委員会(FCC)が通信事業者に対して5Gの活用促進のため、衛星が利用するCバンドの一部を5Gへ割り当てる「5Gファースト計画」に基づき実施されました。また、インテルサットがCバンドへの移行のためにマクサー社と契約した5機の衛星のうち、最初の衛星となります。今後は、ギャラクシー35・同36を2022年12月中旬に打ち上げる予定です。

Source

  • Image Credit: SpaceX,Intelsat
  • SpaceX \- INTELSTAR G31/32 MISSION
  • Intelsat \- Intelsat Announces Successful Launch of Galaxy 31 and Galaxy 32 Satellite
  • Maxar \- MAXAR-BUILT GALAXY 31 AND GALAXY 32 SATELLITES FOR INTELSAT PERFORMING PROPERLY AFTER LAUNCH
  • Spaceflight Now \- SpaceX launches Falcon 9 booster into retirement on Intelsat mission

文/出口隼詩

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