生誕140周年記念 未明童話を音楽劇に 「月の明るい夜に」 参加市民 生き生きと

 小川未明生誕140周年を記念する市民音楽劇「月の明るい夜に」が27日、上越市新光町1の上越文化会館で上演され、約800人が観劇した。
 企画は上越文化会館。今年5月に出演者を公募し、7月のオーディションで41人(7~74歳)が決定。綿密な稽古を経て、同日の本番を迎えた。

市民らが一致団結し、一つの舞台を作り上げた

 物語は満月の夜、小川未明が娘の鈴江に寝物語として自身の童話を語る形で進行。四つの童話『月と山兎』『月夜とめがね』『月とあざらし』『赤い蝋燭(ろうそく)と人魚』が劇中に登場した。

村山さん(左)が未明を、籠島さんが鈴江を優しく演じた

 未明役は最年長出演者の村山秀幸さんが、鈴江役は高志小4年の籠島碧緒さんが担当。楽しげな雰囲気が伝わる2人の掛け合い、朗々と響く歌声、ウサギや風など擬人化されたキャラクターの生き生きとした動きが会場を魅了し、万雷の拍手で幕を下ろした。
 石橋1の女性(87)は「市民がここまでのものを作り上げたことに感激。未明作品の新たな面を感じられた」、未明の孫である小川英晴さんは「童話の原文を大切にした展開がうれしい。未明の精神が表現された、純粋な世界を見ることができた」と感想を話していた。
 プロデューサーを務めた上越文化会館の斉藤美代子館長は「出演者の成長が感じられ、とても良い音楽劇となった。今後も機会があれば、バージョンアップした姿で再演できたら」と意欲を示した。

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