職場のハラスメント5人に1人が経験、初の国際調査 高所得国ほど高率

国際労働機関(ILO)は5日、職場における暴力や暴言などハラスメントに関する初の国際調査の結果を発表した。約5人に1人を超える22.8%が何らかのハラスメントを経験したと回答し、形態別(複数回答)では最多の心理的ハラスメントが17.9%、身体的ハラスメントは8.5%、性的ハラスメントは6.3%だった。高所得国では31.9%と、低中所得国16.9%の2倍近くに上った。調査は2021年、121カ国・地域の12万5000人を対象に実施された。

被害者の5人に3人以上が、暴力や嫌がらせを複数回経験したと回答した。若年女性は性的暴力や嫌がらせに直面する可能性が若年男性の2倍に上り、また女性の移住労働者は、性的暴力や嫌がらせを受ける割合が非移住女性労働者の約2倍だった。

ハラスメントを受けた人のうち、職場の同僚や上司、家族、友人など周囲に打ち明けた割合は54.4%に留まった。地域別では「アジア・太平洋」地域が46.0%と最も低かった。また低所得国ほど、打ち明ける割合は低い傾向があった。性別で比較すると、女性(60.7%)は男性(50.1%)よりも打ち明けた割合が高かった。

打ち明けた相手(複数回答)は、「家族や友人」が最多で84.9%、「同僚」が70.4%、「上司や雇用主」が55.3%、「労働基準監督官や警察、コミュニティのリーダー」が16.0%、「労働組合」が14.8%、「NPOなど社会的サービス」が9.2%などとなった。

誰にも話さなかった人にその理由(複数回答)を尋ねると、「時間の無駄と感じた」が最多で55%。以降「自身の評判への恐れ」が44.5%、「職場の手順が不明確」が43.1%、「警察や労働基準監督官、コミュニティリーダーへの信頼の欠如」が42.5%、「職場で発覚するのが心配」が40.8%、「どうしたらいいかわからない」が38.3%、「制裁が怖い」33.2%――などが続いた。

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