佐世保「九十九島カキ」が大量へい死 被害9割の業者も 高水温など原因か

 長崎県は12日、佐世保市の九十九島で養殖するカキが大量にへい死していると報告した。被害の大きい事業者では9割が死滅し「(九十九島では)経験のない状況」という。夏場の高水温や短期間の水温変動などが原因とみられる。
 県議会農水経済委員会で宮島大典委員(オールながさき)の質問に対し、中村勝行総合水産試験場長らが答えた。
 県によると、九十九島近辺の養殖事業者は約20で、被害が少ない事業者でも4割が死滅している。中村場長は原因について「はっきりと分からない」とした上で、8月の海水温が例年より高かった点や9月の台風の影響で数日間のうちに水温が大きく変動したことを指摘。赤潮も断続的に発生し餌が不足するなど「複合的な原因があるとみている」と述べた。
 来年2月に同市鹿子前町の九十九島パールシーリゾートで予定していた「第22回九十九島かき食うカキ祭り・冬の陣」は、カキの仕入れの見通しが立たず、11月の「秋の陣」に続き中止が発表されている。同市によると、これまでに新型コロナウイルス以外の理由で「カキ祭り」を中止したことはない。市水産センターでは今シーズンの被害を受け、高温耐性の種苗生産の準備を始めているという。
 県によると、諫早市小長井町など県内の他産地で異常は確認されていない。


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