神田沙也加の歌声よ永遠に ♪ 追悼ベスト「LIBERTY」「MUSICALOID #38」は必聴!  未発表曲「アスノヨゾラ哨戒班」収録!

神田沙也加CDデビュー20周年

神田沙也加は、今年でCDデビュー20周年を迎えました。しかしデビュー前から、誰もが彼女の存在を知っていたと思います。それこそ松田聖子の「瑠璃色の地球」のミュージックビデオには、まだお腹の中にいる彼女が出演しているわけですから…。個人的に松田聖子のファンだった僕は、当然、神田沙也加のことも普通に追い続けてきました。しかし、ある時から松田聖子の娘ではなく “神田沙也加” という、あくまでもひとりのアーティストとして彼女を見るようになりました。それはきっと、自身の歩くべき道を、彼女自身で開拓してきたという証しだと思います。

神田沙也加は2002年5月9日、SAYAKA名義のシングル「ever since」でデビュー。作詞はSAYAKA、作曲はthe brilliant greenの奥田俊作が担当し、鳴り物入りのデビューでした。「ever since」は期待以上の素晴らしい楽曲で、20年経った今でもその感想は変わりません。15歳の少女が書いたとは思えない大人びた歌詞で、新人のデビュー曲ながらオリコンの5位を記録するヒットになり、同年に行われた松田聖子のコンサートツアーに参加し同曲を披露しています。サビの部分を松田聖子が歌う予定でしたが、聖子が感極まったため歌えなくなってしまったという “伝説のライブ” を僕は偶然目の前で観ていました。あの日の感動は、20年経過した今でも忘れることができません。ちなみに、今年、松田聖子は自身のコンサートツアーでこの「ever since」を歌唱しています。

声の素晴らしさを再確認できる「LIBERTY 〜memorial〜」

その後、SAYAKAはソニーから3枚のシングルとアルバム『Doll』をリリース後、しばし自分探しの旅に出ることになります。2006年12月から、本名である “神田沙也加” として再スタートを切り、ミュージカル女優としてその才能を開花させていきます。2009年にはミュージカル『レ・ミゼラブル』のコゼット役に抜擢され、約2年間その大舞台をつとめました。

デビュー10周年イヤーである2011年には、約6年ぶりのオリジナルアルバム『LIBERTY』をポニーキャニオンからリリースしています。

この度、このアルバムが再リリースされるのですが、『LIBERTY 〜memorial〜』と題したアルバムには、『LIBERTY』からの曲7曲と、ソニー時代に発表された4枚のシングル、計11曲が収録されています。キュートなのにどこか切ない表情を持つ、彼女の声の素晴らしさを再認識していただけると思います。

2011年の大みそかには、NHK紅白歌合戦に松田聖子と共に出演し「上を向いて歩こう」を歌唱しています。僕はこの年、松田聖子のカウントダウンライブに参加していたので、紅白の生中継を目の前で観ています。中継が入る前に、聖子の方が緊張をしていて、沙也加が母親を励ますという貴重な舞台裏も見ることができました(笑)。この舞台が親子としての最後の共演となり、その後、彼女は自身で切り拓いた、自身の道を歩き出すことになります。

2014年に、神田沙也加に大きなターニングポイントが訪れます。日本で公開されたディズニー製作のミュージカルアニメーション映画『アナと雪の女王』で王女・アナ役の日本語吹替えを担当することになったのです。

2014年の “アナ雪” ブームはみなさんも記憶があると思いますが、映画『アナと雪の女王』の日本での興行収入は200億円を突破するという大ヒットになりました。この年の紅白歌合戦に出場をした沙也加は、英語版でエルサを演じたイディナ・メンゼルとのデュエットで「生まれて初めて」を披露しています。

このアナ雪ブームで神田沙也加を知った若いファンからは、松田聖子の娘としてではなく、あくまでも “アナ役の神田沙也加” として認知されていくようになります。当時の彼女の活躍は、いちファンとしてとても誇らしかったのを憶えています。

未公開音源を収録した「MUSICALOID#38 Curtain Call!」

アナ雪ブームと同時期に神田沙也加は、ギタリストであるBillyとの新ユニット “TRUSTRICK” を結成し、2014年6月にアルバム『Eternity』でデビューしています。約3年間の活動でしたが、自ら打ち立てたコンセプトでクオリティの高い作品を発表してきました。

当時、TRUSTRICKのライブに何回か足を運びましたが、自身の世界観を表現できる歓びを全身で感じていて、彼女はとても楽しそうにステージを動き回っていました。沙也加に憧れている若い女性ファンが会場を埋め尽くしていたのも印象的でした。

TRUSTRICKが乗りに乗っている時期にリリースをされた『未来形Answer E.P.』(2015年5月発売)は、TVアニメ『俺物語!!』オープニングテーマに起用され、オリコン最高位11位を記録しています。この曲は当初「マカロン」というタイトル案もあったそうですが、この曲のインタビューをさせていただいた時にマカロンをお土産に持っていったら、沙也加さんがとても喜んで下さったのを今でも鮮明に憶えています。

2016年12月の中野サンプラザンのコンサートを最後に、TRUSTRICKは休業に入ります。解散は2019年、そしてこの時期の神田沙也加は “ボカロ” に傾倒していくことになります。もともとアニメやゲームに精通していた彼女でしたが、ポニーキャニオンのレーベル「EXIT TUNES」からの提案でボカロアルバムを制作しています。

ボカロアルバム『MUSICALOID #38』(読み方:ミュージカロイドナンバーサヤ)は、2018年にリリースされ、2019年に『MUSICALOID #38 Act.2』、2021年に『MUSICALOID #38 Act.3』がリリースされています。

この度MUSICALOID#38シリーズ最終作となる『MUSICALOID #38 Curtain Call!』がリリースになりますが、この3枚のアルバムからセレクトした15曲+未公開⾳源「アスノヨゾラ哨戒班(Music & Lyrics:Orangestar)」を含む全16曲が収録されています。ボーカロイドと言ってもあくまでも、神田沙也加によるボーカルアルバムであり、楽曲によってプリズムのようにコロコロと声色が変化する “ボーカリスト・神田沙也加” の歌声をお楽しみいただけると思います。

「マイ・フェア・レディ」でミュージカル女優として確固たる地位を確立

近年は、かねてから演じてみたかったというミュージカル『マイ・フェア・レディ』のイライザ役を好演し、ミュージカル女優として確固たる地位を確立してきた神田沙也加。個人的にも大変嬉しく思っていた時に届いた訃報でした。いくら仕事が順調だとしても、人間の心の裏側というのは誰にも想像は出来ません。亡くなることになった原因については、ネットニュース等の情報しか知りませんが、ファンとしてはただただ残念でなりません。

しかし、神田沙也加というアーティストは、いつもはきはきと挨拶をして、決して笑顔を絶やさないというイメージがずっと脳裏に焼き付いています。この先、あの笑顔は上書きされることはありませんが、ずっと心の中に保存されることでしょう。これまで我々に元気を与えてくれて、本当にありがとうございました。

カタリベ: 長井英治

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