写真を眺めるだけでも旅した気分。東京から奄美大島へ移住した子ども3人の主婦の暮らしを、見せてもらった。

島の海と空の色は、一日として同じことがないというほど変化にとんだ美しさ。そんな自然豊かな場所、奄美大島に移住した主婦の暮らしを訪ねました。

<教えてくれた人>
鹿児島県 盛 亜紀子さん
埼玉県出身。東京都出身の夫と一緒に17年前に、夫の両親が住む奄美大島に移住。高1の長男、中1の次男、小4の長女との5人暮らし。アクセサリーを制作してイベントや委託で販売などをしている。
akiko mori_Instagram
https://www.instagram.com/acco_suzie/

名前もつかない「好きな物」に囲まれた暮らし

夕日が沈むときの、海と空のグラデーション。朝日が海から昇るときの、神々しく輝く光。森や山にあふれる、南国らしいもじゃもじゃした濃い緑。盛さんが眺める、ここ奄美大島の自然は、一日として同じ色に映ることがないと言います。
「義父が島の出身で、義母を連れて島にUターンしていたんです」。その両親を何度となく訪ねるうち、東京で暮らしていた盛さん夫婦も移住をする流れに。思い切った決断ですが、素敵な場所だと知っていたこともあって、大きな不安もなかったそう。
ご自宅には美しい雑貨が並んで、とてもセンスの良い雰囲気です。

実はこの家は新居を待つ間の仮住まい。にもかかわらず盛さんらしさがあふれています。家具や道具は、友人の店やリサイクルショップ、フリマなどで。

「和でも洋でもなく、新しい物も古い物も混在しているような、ミックスした感じが好き。旅好きの父が世界各地で買ってきたお土産を実家から持ち帰ったり、島の養護学校の生徒たちの手作りだったり、フリマで見つけた道具だったり。そうそう、奄美大島ってフリマのようなイベントが盛んなんですよ。知り合い同士で好きな物を回しているだけかもしれません」と笑う盛さん。
たくさんの商品の中から選び取って買いそろえたというより、物を大切にしていたら、いつの間にか好きな物が寄り分けられた感じでしょうか。

手作りアクセサリーのヒントは島の自然から

自身もフリマの延長のようなイベントに誘われて出店したときに、アクセサリー作りに挑戦。以来、委託販売なども受けながら続けています。島の伝統工芸である大島紬の糸や端切れと、ヴィンテージのビーズが材料。これまた◯◯風とはいえない、オリジナルな世界観。いったい何からヒントを得て?と聞いてみたら、それは島の自然とのこと。
「スーパーへの買い物のついでに娘と海に沈む夕日を見に行ったり、朝日が見たいと息子が言い出せば、早起きしてピューっと遠くの海までドライブしたり」いつも自然がそばにあって、移住して感じるいちばんの魅力はその美しさ。日々の暮らしにある大好きなものです。

島といえば海ですが、自然に生えている植物も迫力があって魅力的。「子どもたちは何もないって言いますが、ここの自然が素晴らしいです」。

インテリアも手作りのアクセサリーも「好きと思う物を集めたり、組み合わせたり、眺めたりしてるだけ」。有形無形は関係なく、自分の気持ちに忠実に好きを集めたら、盛さんらしい暮らしになりました。
あふれるようなたくさんの物から選び放題というのとは違うけれど、自分らしさを見つけることってパッと見の選択肢の多さではないのかも。「自分軸は大切にしています。心地いい、楽しい。そういう状態でいられるように意識しているかもしれません。自分の居心地がよければ、回りもきっとよくなるって信じてるんです」。それがハッピーの源。本当に自分が好きなものって何だろう?まずは、そこに向き合うことからなんですね!

#自然の色彩をヒントに作る

ビンテージのレースやビーズなどと、大島紬の端切れや糸を組み合わせて、盛さんが作ったアクセサリー。「島の自然からイメージを広げています」。

#父の好きが世界中から

「好きを集めるのは父の影響かも。旅しては買ってきていたお土産の一部を最近譲ってもらいました」。トルコ、ギリシヤ、ロシアなどの物。

#作家の名前は知らなくていい

手にしている器は島で作陶されていた方の作品。でも、その他の器のほとんどは作家の名前も知らない物ばかり。ただ好きな物だけ選んでいます。

参照:『サンキュ!』2022年10月号「わたしのHAPPYのつくりかた」より。掲載している情報は2022年8月現在のものです。photo:tomoya uehara text:kyoko kato 編集/サンキュ!編集部

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