広島県教育長、計4000万円の事業発注した社長を自宅に複数回泊める 県教委が内部調査へ

広島県教委の平川理恵教育長

 広島県教委は15日の県議会文教委員会で、平川理恵教育長と親交のある大阪市の業者に委託事業の発注を繰り返し、業務で広島市を訪れた同社の女性社長を平川氏が自宅に泊めるなどしていたと明らかにした。契約額は計約4千万円に上る。県教委は「利害関係者との付き合い方が不適切だった」とし、業者選定の公正性を巡り内部調査する方針を示した。

 県教委によると、2019年度以降、大阪市の教育コンサルタント業「キャリアリンク」に情報通信技術(ICT)を活用した教員研修や高校でのグローバル人材の育成など12事業を委託した。契約額は計3977万円で、うち8事業は入札を経ない随意契約だった。また18年度以降、社長に教員研修などの講師を76回依頼。報償費約200万円を支払っていた。同年度に教育長に就いた平川氏が「キャリアリンク」の社名を口に出すまでは、県教委と同社との取引はなかったという。

 平川氏は横浜市立中の校長を務めていた13年ごろから社長と付き合いがあり、2人は同時期に中教審の委員を務めたこともある。県教委は、平川氏が社長を自宅に泊めたり飲食を共にしたりしたことが複数回あったとしている。

 平川氏は15日の県議会文教委で「繰り返し県民の皆さまに疑念や不信感を与える内容が報道で指摘され、反省している」と陳謝した。県教委はこのほか契約への疑義が指摘された学校図書室のリニューアル事業を含め、実態を調査する考えを示した。

 県教委の委託事業を巡っては今月6日、外部専門家による調査報告書で平川氏と親交のあるNPO法人パンゲア(京都市)との20、21年度の2件の契約で不正な手続きがあったとして、官製談合防止法違反や地方自治法違反を指摘されている。

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