【吉田勇童さん(株式会社イチカラ畑 代表取締役)】“いちから”始めた農業~遊休農地で有機栽培そばを育てる~

吉田勇童さん(株式会社イチカラ畑 代表取締役)

吉田 勇童(よしだ ゆうどう): 小千谷市出身。北海道でスノーボーダーとして活動していたが、中越地震をきっかけにUターン。現在もプロスノーボーダーの活動を続けながら、家業のリサイクル業の傍らで遊休農地を借り受けて再生し、有機栽培そばを手掛ける。健康と環境に優しいそば作りと新潟のウィンタースポーツ界の盛り上げに取り組んでいる。


ガタチラスタッフ:『新潟人129人目は「株式会社イチカラ畑」代表取締役の吉田 勇童さん!
有機栽培にこだわるそば専業の農家として“いちから”スタートし、からだにも環境にも良いそばを作られています。北海道でスノーボーダーとして活動されていた吉田さんが農業を始めたきっかけとは!?素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

スノーボーダーからそば作りへ

──吉田さんはプロスノーボーダーとしても活動されているのですね!

吉田さん:10年くらい北海道でスノーボーダーをしていて、メーカーの契約ライダーをしたり、大会にも出場していました。スノーボードを始める前は競技スキーをやっていて、インターハイにも出場していたんです。高校卒業後はスノーボードに転向し、「とにかく上手くなりたい」という気持ちでやっていましたね。シーズンオフはアルバイトをして、秋からは海外遠征という生活をしていました。

──新潟に戻ったきっかけは何だったのですか?

吉田さん:きっかけは中越地震でした。実家が被災して、地元の復興の仕事を手伝って欲しいと言われたんです。復興の最前線のような仕事だったので、腰を据えて取り組むために新潟に戻ることを決めました。

──そこから農業に取り組むきっかけは何だったのですか?

吉田さん:北海道にいた頃にオフシーズンは農業のアルバイトをしていて、家庭菜園もやっていたんです。それで、体に良いものや有機栽培に興味を持ち、元々デザインやものづくりにも興味があったので、農業をやってみようと考えました。

──それから「イチカラ畑」がスタートしたのですね!

吉田さん:家業のリサイクル業を手伝いながら農業ができないかと考え、それならリサイクル業の一環で、遊休農地や耕作放棄地をリサイクルして農地に戻しながら農業をしようと始めました。あまり手をかけずに作れるものとして、有機栽培のそばを育てることにしたんです。そばは地元の名産でもありますしね!

そばの畑

有機栽培へのこだわり

──他のそば農家と差別化を図るための有機栽培でもあるのですか?

吉田さん:そうですね。最近になって国も推奨するようになりましたが、全国的に見ても有機栽培は少ないです。県内で「有機JASマーク」の認証を取って流通しているそばは当社だけですね。

──農業を始めて、苦労したことは何ですか?

吉田さん:収量の少なさですね。有機栽培にこだわりつつ、慣行栽培(※1)のそばと同等の収量を採れればいいのですが、なかなか上手くいきませんでした。あとは農地を確保することです。農業のことを知らない私が農地を借りるにはかなり苦労しました。時間をかけて地主さんに説明して、借りられるようになるまで1年かかりましたね。さらに、有休農地は雑草が生い茂っているので、材木の伐採や根っこの伐根など土づくりが特に大変でした…。

※1…一般的に行われている栽培方法で、通常生産過程において農薬や化学肥料を使用する従来型の栽培のこと

──それでもやろうと思った原動力は何ですか?

吉田さん:体育会系だからですかね(笑)。「やらなければいけないんだから、とにかくやらなきゃ」です。その気質はスキーで培われたものです(笑)。「イチカラ畑」という名前は「一(いち)から始める」という意味です。本当は「ゼロから」なんですけど。ロゴマークも「一(いち)~(から)」という意味を込めたデザインです。

──こだわりはどんなところですか?

吉田さん:有機栽培と環境への配慮です。当社では化学肥料、農薬は不使用で、トラクターも排ガス規制がかかっているものを使っています。そばを育てているだけでも、CO2を吸収することになりますし、耕作放棄地を無くすことも環境保全に役立つと思っています。そうして自家栽培したそばを自家製粉し、小麦粉は県産か国産だけを選んで自家製麺で作っています。加工でも添加物は一切使用していません。当社のように栽培から提供まで一括で行っているところは少ないと思いますね。

──さらに「イチカラ畑」さんでは夏と秋の2回栽培を行っているのですよね?

吉田さん:それが当社の最大の特長で、新そばの時期が夏と秋の年2回ある「二期作」を行っています。新潟のそば農家は米作との兼業がほとんどなので、夏は米で忙しくてそばの栽培は難しいんですよね。その点はそば専業の当社としての強みです。

──商品のラインナップはどれくらいあるのですか?

吉田さん:10のカテゴリーの商品があって、生めんや乾めん、そば粉のほか、そばのはちみつもあります。このはちみつは、ミツバチの天敵のスズメバチが少ない夏の栽培時期がないと作るのが難しいんです。ハチの巣に病気を防ぐための抗生物質を使っていないので、はちみつもオーガニックです。

──たくさんある商品のパッケージもポップなものが多いですね!

吉田さん:そばというと堅いイメージの商品が多いと思ったので、あえて女性が好きそうなポップなイメージにこだわっています。年越しそばのパッケージには、その年の干支のイラストを入れているんです。毎年変わる干支のイラストも楽しんでもらいたいですね(笑)。

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農業とウィンタースポーツ

──お客様との印象に残るエピソードを教えてください!

吉田さん:先日アオーレ長岡で出店していたら、初期に出店した頃に来てくださったお客様が「頑張ってるね」と差し入れを持ってきてくださいました。他にも「子供にも食べさせたい」と言ってくださる方や「大切な時にこのそばを食べたい」という方もいて、お客様の言葉一つひとつがとても嬉しいですし、もっと良いものを作ろうというモチベーションにも繋がります。

──どんな方に商品を手に取って欲しいですか?

吉田さん:有機栽培にこだわって栽培している商品なので、健康を気にしている方や環境保全について理解してくださる方に食べていただきたいですね。おうち時間が増えている時代なので、手軽に食べられるインスタント麺もぜひお試しください。その人に合った商品を選べるのが当社の特長なので、年末には「イチカラ畑」のそばを年越しそばなどにご利用いただければと思います!

──最後に今後の目標を教えてください!

吉田さん:来年は有機JASの認証を取った工場で作った乾麺を販売する予定です。有機JASの認証マークを取ると、海外への輸出もしやすくなるんです。今でもシンガポールやアメリカ、カナダなどで販路を広げているのですが、いずれは海外にも出店したいですね。それと、当社の畑のすぐそばにある休業中のスキー場の運営をやりたいという目標もあります。せっかくある観光資源でもあるので地域を盛り上げていきたいです!

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