大規模地震での横浜市の死者半減目標 達成見込みは6割 木造住宅密集地域での延焼対策進まず

延焼リスクの高い地域で住民らの協議会が整備した防災広場。こうした対策を広げられるかが課題=2019年2月、横浜市中区

 横浜市が大規模地震の想定死者数(3260人)を10年間で1630人に半減させようと定めた減災目標で、期限となる来年3月末時点の達成見込みが目標の約6割(970人)にとどまることが、市の推計で分かった。木造住宅密集地域(木密)の延焼火災が被害の主因だが、その対策が思うように進んでいないためという。市は来年1月以降に防災計画を修正し、目標期間を5年間延長した上で、あらためて達成を目指す方針だ。

 東日本大震災を教訓とした市の地震対策では、市内の被害が最悪となるケースとして、1923年9月の関東大震災を上回るマグニチュード(M)8.1の「元禄型関東地震」を想定。最大震度7となる同地震が冬の平日午後6時に起きると、延焼火災などで3260人が死亡し、計11万2千棟が全壊・焼失すると予想している。避難者数は57万7千人に上る。

 この結果を踏まえ、2013年に定めた市の防災計画や地震防災戦略では、22年度までの10年間で(1)死者数半減(1630人の減)(2)避難者数40%減(23万800人の減)(3)全壊・焼失棟数半減(5万6千棟の減)─を掲げている。

 達成に向けて進めてきた住宅の耐震化や木密での建物の防火規制、インフラ対策などの進展を考慮し、22年度末時点の状況を推計したところ、(1)の死者数は970人の減、(3)の建物被害は3万2900棟の減と、それぞれ目標の約6割にとどまることが判明した。

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