BS11で15周年ドラマ「恋は50を過ぎてから」を制作! 秘密から始まる!? 大人の新たな恋愛の仕方

12月1日に開局15周年を迎えたBS11が、クリスマスにスペシャルドラマ「恋は50を過ぎてから」を放送。今作に出演した鶴見辰吾と鈴木杏樹、そして、脚本を担当した池田テツヒロのインタビューをお届け!

50代の男女が久しぶりの恋を進めていく!?

BS11開局15周年を記念した、初のオリジナル自社制作ドラマ「恋は50を過ぎてから」。キャストに鶴見辰吾と鈴木杏樹を迎えて、俳優の池田鉄洋が池田テツヒロ名義で脚本を、共同テレビ・松木創氏が演出を担当。50代の男女が久しぶりの恋を手探りで進めていく、切なくも温かいラブストーリーを描く。

舞台は、隠れ家のようなフレンチレストラン「エルミタージュ」。おしゃれな雰囲気の中、57歳の渋谷武(鶴見)と51歳の鬼島恋(鈴木)がデートをしているところから始まる。マッチングアプリ「アーベック」で知り合った2人は、実際に会うのはこの日が初めて。登録されたプロフィールを頼りに会話しようとするが、それぞれの“趣味”の話題になると、ボロが出てしまう。それは、お互い見栄を張って、プロフィールにうそばかり書いていたからだ。最初はうまくいかなかったが、久しぶりにときめきを覚えた2人は、デートのたびにうそを告白していく。最後には「絶対に言えない」秘密が残っていた。

おしゃれなフレンチレストランで大人の落ち着いたデート。一見すると、大人のスマートな恋愛ドラマだが、実は2人の心の中は大騒ぎ。取りつくろった会話でうそがバレそうになると、2人の頭の中に“舞台”が現れる。レストランにいる自分ではなく、その舞台の上にいる自分と、客席から見る自分が会話をすることで、内なる声がコミカルに描かれていく。社会が抱える問題も交えながらも、重くなりすぎないテイストなのは、池田と松木監督がこだわって作る不思議な世界観によるもの。さらに、実際に50代である鶴見と鈴木が、洗練された大人の雰囲気も、欠点をさらけ出すチャーミングさもバランスよく演じることで、上質な大人のファンタジーラブコメに仕上がっている。心の闇と向き合う50代の男女は、第2の人生を前向きに歩み出すことができるのだろうか。

番組を手掛けるBS11・柿崎拓哉プロデューサーは「入社3年目の女性社員の企画立案です。彼女が、レストランで50歳くらいの方たちが“恋バナ”をしている様子に興味を持ち、『恋をするのは何歳からでもいいんだ』と勇気をもらったことがきっかけです。これからも、若い人がどんどんアイデアを出して、活躍していただければと思っています」とコメントしている。

SPECIAL INTERVIEW◆ 鶴見辰吾×鈴木杏樹×池田テツヒロ(脚本)

■難しいセリフも書かせてもらった(池田)

── 最初に脚本をお読みになった時の感想を教えてください。

鶴見 「何度か共演していたので、やっと池田さんの脚本作品に出演できてうれしいなと思いました。池田さんの独特なユーモアがたくさん散りばめられていて、日本では珍しいハートウォーミングコメディーです。50代の男女2人の会話劇で展開するので、役者にとっては大変でもあり、やりがいがあるお話だなと感じました」

鈴木 「読んだ時にストレートに伝わり、すぐに映像が見えたので『どんな方が書かれたんだろう』と思いました。スタッフの方に『池田さんですよ』『この方です』と写真を見せてもらって『あぁ!』となりました(笑)。お会いしたことはなかったのですが、『なるほど!』と腑に落ちました。演じる側のこともお分かりになる、池田さんならではの脚本ですよね」

池田 「光栄です。私にはできない役がたくさんあるのですが、その代わり、知っている俳優の方たちを思い浮かべるといろんなことが書けるんです。今回、執筆途中にお二人の配役を知り、そこから筆が乗った部分もあります。松木創監督も不思議な世界観を楽しんでくださったので、大胆に書くことができました。難しいセリフも書かせてもらい、お二人に甘えたところも…。『演じる俳優は大変だぞ』と思いましたが、『お二人なら大丈夫だ』と安堵した次第です」

鶴見 「私と杏樹さんのために書いてくれたものだなと、ひしひしと感じていました。なかなかこういう作品には巡り合えないので、大事にしたいと思いまして。無理を言って、リハーサルの機会も設けていただいたんです」

鈴木 「いきなり撮るのはしんどいなと思っていたので、お稽古があるのは心強かったですね」

■私が独身だったらこういう感じかも(鶴見)

── 設定やご自身が演じる役はどのように捉えていますか?

鶴見 「フレンチレストランが舞台で、ウィットに富んだおしゃれな会話劇なので、トム・ハンクスとメグ・ライアンみたいな、大人のファンタジーを目指したいです。渋谷という役は、私が独身だったらこういう感じかも…と思いました。久しぶりにお会いした杏樹さんは本当にお奇麗で。このヒロインには、ときめきますよ!」

鈴木 「うふふ。ありがとうございます。若い世代にはない距離感や、ププッと笑えるような空気感も、うまく表現したいです。今回の役は、“渋谷さんと食事中の自分”“心の声として舞台に立つ自分”“その舞台を観る客席側の自分”の3人の自分で表現するので、面白い設定ですね」

■この作品を見て前向きになっていただけたら(鈴木)

── テーマの「大人の恋愛」についてはいかがですか?

池田 「若い方には『その年齢で恋愛はしないですよね』と思われがちですが、それはかっこいい大人の恋愛を描いた作品が少ないから。もっとあってもいいと思っていました。50代での新たな出会いは少ないものですが、マッチングアプリの出会いは面白いですね」

鶴見 「時代の変化を感じますね。私は、クラブで出会った女性と結婚しましたが…男女が出会うという意味では似たようなものですね(笑)。年齢を重ねていろんな経験をすると、相手を許す気持ちが大きくなるので、大人こそ心が通じ合う出会いができるのだと思います。この作品を若い方にも見てもらって『なんだ、同じように出会いを求めてるんだ』と思ってくれたらいいですね」

鈴木 「若い頃の胸が苦しくて眠れないような恋愛ではなく、気持ち穏やかに過ごす年齢になってきたからこそ、どこか心がぽかぽかするような恋愛の形も許されるのだと思います。私の周りにもいろんな理由で1人で生きている女性がいますが、年齢を理由に恋愛を諦めているところがあって。この作品を見てもらって、前向きな気持ちになっていただけたらうれしいです」

◆ 鶴見辰吾がよく使っているアプリは?

「カメラで楽譜を撮ると、譜面を読み取って音階を奏でてくれるアプリがあるんです。ミュージカルに出演する際、よく分からない時に助かるアプリです。それと、タクシーのアプリはよく使います。呼ぶ時だけでなく乗った時も、お財布を出さないで支払いができて、そのまま降りられるので便利だなと思っています」

◆ 鈴木杏樹がよく使っているアプリは?

「Instagramを始めて約1年しか経っていないんですが、頑張って投稿しています(笑)。フォローしている方たちの投稿が見られるので、今こういうことしてるんだな、ということが分かっていいですね。共演すると教えていただいてフォローするので、そういう意味でお友達が増えてうれしいです」

◆ 池田テツヒロがよく使っているアプリは?

「TikTokはよく見ます。若者の言葉や流行を取材するのにいいんです。脚本を書く時におじさん言葉で埋め尽くされてしまうことがないように、リサーチさせてもらってます(笑)。TikTokのような短い動画をよく見ている世代の方に向けて、これからの作品ではどうやって発信していけばいいのかなと…。まだ答えは出ていないです」

【プロフィール】

鶴見辰吾(つるみ しんご)
1964年12月29日生まれ。東京都出身。A型。近年の主な出演作にドラマ「エンディングカット」(NHK)など。2023年2月にドラマ「ガラパゴス」(NHK BSプレミアム・BS4K)が放送される。


鈴木杏樹(すずき あんじゅ)
1969年9月23日生まれ。近年の主な出演作に、連続テレビ小説「なつぞら」(NHK)、舞台「BTTM2」、「朗読劇高島嘉右衛門列伝」(2022年)など。


池田テツヒロ(いけだ てつひろ)
1970年10月31日生まれ。東京都出身。AB型。脚本家、演出家、俳優として活動。ドラマ「吉祥寺ルーザーズ」(テレビ東京系)、舞台「『パタリロ!』~ファントム~」などの脚本を執筆。

【番組情報】

BS11開局15周年スペシャルドラマ「恋は50を過ぎてから」
BS11
12月25日 午後8:00~8:55

製作著作/BS11 制作協力/共同テレビジョン

取材・文/山口美奈 撮影/尾崎篤志

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